サマリー

Biomimetics for Healthcare: Innovations Inspired by Nature

サマリー

“バイオミメティクス（Biomimetics:生物模倣）”とは、「生物の構造や機能、生産プロセスを観察、分析し、そこから着想を得て新しい技術や製品の開発に活かす科学技術」のこと。本書では、「医療のための」バイオミメティクス、というテーマで、バイオミメティクスの技術や製品を医薬品や医療用具、医療機器等の医療分野に応用した事例を収集し、解説しました。

自然や生物の進化と原理を活用するバイオミメティクスを医療分野に応用することで、より安全、効果的で、侵襲の少ない医療機器や治療法の創出が可能になります。既に市販化されている革新的な医療技術の例として、「アメリカドクトカゲの唾液のタンパク質を模倣したGLP-1受容体作動薬」（本書No.1）や、「電気魚に着想を得たアブレーション向け循環器用カテーテル」（No.14）、「生体内の血管を模した三次元らせん構造を有する金属製下肢用ステント」（本書No.16）、「クマムシのアンヒドロビオシスメカニズムを化学的に模倣した室温保存用試薬」（No.44）等が挙げられます。

医療のためのバイオミメティクスの適用と用途は、組織工学からイメージング、薬物送達システムまで、広大かつ多様です。本書では、以下11分野に分けて、45の事例を紹介。当該企業やアカデミアの技術者、研究者らが、どのように自然や生物からインスピレーションを受け、どのようなイノベーションを生み出しているのかをまとめました。なお、各事例には、主要論文と特許を付記しております。
①医薬品・ワクチン、②DDS、③内視鏡・腹腔鏡手術・インプラント・カテーテル・ステント、
④医療用具、⑤止血剤・接着剤、⑥コーティング・加工、分解、⑦組織移植・組織搬送、
⑧自己治癒材料・生体適合人工材料、⑨イメージング・センサ・測定装置、⑩生物試料の保存、⑪放射線耐性

ヘルスケア・ライフサイエンス分野の関連企業様の製品開発や戦略策定に役立てていただけることを願っております。

本書の掲載内容: 掲載事例の一部

•     化膿レンサ球菌のタンパク質を利用して、ワクチンの効果を高める
•     植物種子の発芽能力維持メカニズムを応用した熱安定性ワクチン
•     寄生中に設計ヒントを得た腸に埋め込むマイクロデバイス
•     フグからヒントを得た胃の中で膨らみ留まる錠剤
•     イルカの皮膚表面のシワ形状を模した、自浄作用する人工血管
•     電気ウナギにヒントを得た人工臓器用電源
•     感染症の細菌に倣った、病原性バイオフィルムに接触すると蛍光色を発する創傷被覆材
•     ナメクジ粘液にヒントを得た生体親和性を持つ強靭な接着剤
•     フジツボが張り付く仕組みを応用した、迅速、強靭で、血液凝固に依存しないペースト状止血剤
•     バイオミメティックな表面を生成する医療機器用レーザーシステム
•     サメの皮膚構造を模倣したパターンで細菌の増殖を抑制する医療機器
•     タコ吸盤の把持メカニズムを模した移植用ソフトマニピュレーター
•     ウジ虫から分離・クローンされ当た酵素を含む慢性創傷治療材
•     タコの偏光視覚計測方法を基に加齢黄斑変性リスク測定装置を開発　　

など、45事例

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