テレビ視聴でYouTubeがDisneyを抜く
コネクテッドTV(CTV)の普及によりテレビでのYou Tube の視聴が増えてきた。Nielsenによると、2025年2月のテレビの利用時間(地上波、多チャンネル、ストリーミング視聴、それにゲーム等を含む全テレビ利用)に占めるYouTubeのシェアが11.6%になり、ついにDisneyを抜きトップになった。テレビ利用時間に占めるYouTubeのシェアは2023年11月では9%で4位であったのが、2024年3月に2位になって以来、殆どの月はDisneyが1位、YouTubeが2位であった。8月にYouTubeは10.6%でDisneyの9.5%を抜いたが、オリンピック視聴のお陰でNBCUniversalが13.4%で1位であった。
DisneyのシェアはABC、ESPN、Disney Channel、Disney+、Hulu等のサービス合計である。1つのサービスのYouTubeがDisneyの全サービス合計を追い抜いたことはすごいことである。地上波が2月のテレビ利用時間に占めるシェアは21.2%であったので、YouTubeは地上波の半分以上の視聴がある。当然、ストリーミングサービスとしても1位である。ストリーミング・サービスとしては2位はNetflix(8.2%)、Disney(Disney+、Hulu、ESPN+の合計)が4.8%で3位、Prime Videoが3.5%で4位、そしてFAST/AVODのRoku Channel(2.1%)であった。
YouTubeはテレビ最大の動画サービスであるが、テレビ広告収入の最大サービスではない。既存のテレビ放送(地上波と多チャンネルサービス)のテレビ利用時間におけるシェアは44.4%であるが、テレビ広告売上に占めるシェアは60%で、ストリーミングでのテレビ広告(CTV広告)が40%である。CTV広告でもYouTubeはトップではない。eMarketerによると、2024年のCTV広告のトップはHuluで$33.9億の収入があり、YouTubeの$33.4億をわずかだが上回っている。Huluがテレビ利用時間に占めるシェアは3%程度である。Huluのテレビでの視聴時間はYouTubeの3分の1だが、広告売上では同じである。
理由は広告料の違いである。テレビ番組を配信しているHuluのCPMは$23であるのに対して、YouTubeその半分以下でしかない。広告主は品質が高く、 内容的にも信用出来るコンテンツを配信する配信サービスの広告に高い金を払うが、ユーザが投稿するビデオが殆どのYouTubeには同等の金額は払わない。古めのTV番組、映画が多いFAST/AVODの方がYouTubeよりCPMは高い。
放送事業者は自分達のコンテンツは高品質で、安全であることを強調し、放送コンテンツを「プレミアム・ビデオ」と呼んでいる。テレビネットワーク広告をプロモートする組織のVideo Advertisement Bureau(VAB)はプレミアム・ ビデオを「信頼できるブランド・セーフな環境で透明性をもって配信され、実際の人々が高品質の視聴体験で視聴しているコンテンツ」と定義している。YouTubeは低品質であり、ブランド・セーフではない訳である。
確かに、これまでのYouTube動画はそうであった。しかし、YouTubeのクリエイターはプロになっている。CTVで好まれるビデオは高画質で、以前よりも長い物であり、そのようなビデオを制作すれば収入が増える。プロとしてクリエイター達はよりCTVでの視聴に適したビデオを制作し始めている。今は、プレミアム・ビデオに優位性はあるが、長続きするものでは無いであろう。