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選挙からの収入を失っている地上波局

選挙からの収入を失っている地上波局

アメリカの地上波局が選挙から得る収入は大きい。選挙の年にはニュースの視聴が増え、さらに選挙広告には膨大な金が使われる。AdImpact社によると、2024年の選挙広告の規模は$110.7億で、テレビがその70%を占めている。殆どの選挙広告は特定の地域をターゲットしており、全米(ネットワーク)広告ではなく、地上波局、あるいはケーブルTVの広告が使われる。地上波が50%、ケーブルTVが14%、ネットワークが3%のの構成である。

選挙広告における2024年の大きな変化はコネクテッドTV(CTV)広告の成長である。選挙広告に占める、デジタル広告のシェアは25%になっており、インターネットが11%、CTVが14%である。4年前の選挙ではCTV広告は殆ど使われなかったが、2022年から利用され始め、今年に大きな成長をした。CTVでの選挙広告が増えている最大の理由は視聴者が放送ではなく、ストリーミングでテレビを見るようになっているからである。放送をまったく見ていない人もおり、以前のように放送だけでは有権者をカバーすることは出来なくなっている。

もう1つ、CTVが好まれている理由は放送より、細かいターゲッティングが可能だからである。CTVアドレッサブルであり、放送よりも細かく地域を指定することが可能で、有権者だけを対象にし、地域外の人に金を使わずに、無駄の無い広告が出来る。さらに、所得、性別、年齢、人種、支持する党等で視聴者を選択することで、対象有権者にマッチしたメッセージを送れる。

変化は選挙広告だけでなく、選挙ニュースの視聴にも起きている。Nielsenによると、投票当日の東部時間19:00から23:00時の開票速報番組の総視聴者数(地上波と多チャンネル向け18ネットワークの合計)は4229万人で、4年前の5692万人から26%もの減少であった。世帯数では2845万で、1960年以来の最低数であった。

テレビで開票ニュースを見た4229万人の視聴者の内、91%に相当する3845万人は4大地上波ネットワーク、あるいは多チャンネルの3大ニュースネットワーク(CNN、Fox News、それにMSNBC)のいずれかを見た。残りの9%はThe CW、PBS、スペイン語放送のTelemundoとUnivision等で開票結果を見た。もっとも視聴者が多かったのは多チャンネルのFox News(1132万人)で、2位はMSNBC(6010万人)、3位はABC(5900万人)であった。

テレビで開票番組を見なかった人たちの多くはYouTubeを利用したようだ。Googleによると選挙当日に4500万人以上がYouTubeで選挙関連のコンテンツを見ている。この人数にはライブの開票速報だけではなく、選挙関連のオンデマンドも含まれているので、テレビでの視聴者と比較することは出来ないが、大きな数である。ライブ・ストリームでの視聴の1位もFox Newsで、次はNBC News、LiveNOW(Fox系)、ABC Newsであった。

放送の視聴が減っているので、選挙関連のニュースの視聴者、それにテレビの選挙広告からの収入が減るのは当然である。しかし、選挙広告は地上波局にとっては重要な収入であり、これをCTVに奪われることは大きな打撃となる。

 

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