利用されているビデオサービス数が減る
視聴者が利用しているビデオサービス(オンデマンドだけでなく、多チャンネルサービスも含む)は増えてきた。TiVoによると2016 年Q4では平均で4個であったのが、2020年Q4には6.4個に増え、2022年Q4では11.5個になった。しかし、2023年Q4では11.1個に減っている。
利用されているビデオサービスの数が減ったのには複数の理由がある。1つはコードカッティングである。2023年には多チャンネルサービス(vMVPDを含む)は470万世帯を失い、加入率は56.5%に落ちている。また、SVODサービスの統合も原因をしている。HBO MaxはDiscovery+を統合し、Maxとなり、ShowtimeはParamount+に統合され、Paramount+ with Showtimeになっている。
さらに、家計的な理由もある。コードカッティングをするとビデオ・エンターテイメントに使う費用は$100以上減る。その分、SVODサービスを増やすことが出来る。しかし、SVODサービスも値上げしており、また、景気も良くなく、加入しているSVODサービスを減らす人が増えている。TiVoの調査では62.5%の人が、娯楽に使う金額を減らしたと答えている。
無料のFAST/SVODサービスの普及がSVODサービスの成長を鈍らせている。利用しているビデオサービスに内、有料(多チャンネルサービス、あるいはSVOD)は2022年Q4では7.6個であったのが、2023年Q4では7.1個に減り、無料サービスは3.9個から4個に増えている。ビデオサービスに使っている月額は2021年Q4では$169.65であったのが、2022年にQ4には$189.38に増え、2023年Q4は$176.84に減っている。
それでも、20%の人はまだ利用しているビデオサービスが多すぎると答えており、さらに減少する可能性がある。サービスが多すぎると感じ理由は支払っている金額だけでなく、サービスが増えるとコンテンツを探すのが困難になることもある。使っているサービスの数が2016年のように4個であれば、どのコンテンツがここにあるかを覚えていることは困難ではない。しかし、11個となると、記憶のキャパシティを超える。
見たい番組が決まっているのであれば、ストリーミング・プレーヤーの統合検索を使うことが出来る。しかし、事前に見るコンテンツが決まっていない時のほうが多い。サービスを立ち上げ、コンテンツを閲覧し、見つからなければ、次のサービスを試すことになる。見たいコンテンツがすぐに見つからないサービスは利用されなくなる。
多チャンネルサービスに対する大きな不満はチャンネルが増えたことで、見たいチャンネルを見つけるのが困難になったことであった。チャンネルが増えても、見つけることが困難であった。結局、見ているチャンネルは増えず、料金が高くなるだけであった。同じことがストリーミングでも起きている。オンデマンドでは膨大なコンテンツにアクセスすることが出来るが、ライブラリーが豊富になるほど、見つけることが困難になる。