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新たな業界の再編成

新たな業界の再編成

DisneyがComcastの持つHulu株を買い取り、Huluの100%オーナーになった。早速、DisneyはDisney+のアプリからHuluのコンテンツにアクセスすることを可能にした。Disney+とHuluへの加入が必要だが、Disney+のアプリから両方のコンテンツを見ることが可能になった。ライブラリーの規模としてはDisney+、それにABC等のコンテンツがあるHuluのコンビネーションは、Warner Bros. DiscoveryのMaxに続く、2位になる。ライブラリーの規模が増えるだけでなく、ヒット作品も増える。Q3のSVODのトップ100に占めるDisney+とHuluのコンテンツは33本で、Netflixの29本を抜き、トップである。

ライブラリーの規模ではMaxが最大である。しかし、Maxのタイトルには大きな偏りがある。MaxにはWarnerの映画とHBOのTV番組があるが、地上波にあるような一般的な番組が少ない。Discovery+が加わったことでTV番組は増えたが、殆どはドキュメンタリーとハウツー物である。Maxのライブラリーの60%はDiscovery系であり、Disney+とHuluのコンビネーションのような子供向けからホラーまでの幅広さがない。

Disneyへの対抗として、WBDはParamount Global買収を検討しているようだ。Paramount Globalは4大コンテンツ事業者としては最小であり、買収により規模を大きくするか、あるいは買収されるかの選択を迫られている。しかし、Paramount GlobalにはCBSの地上波ネットワークと放送局が含まれ、買収は簡単ではない。地上波ネットワークを持つDisney、あるいはComcastがParamount Globalを買収する場合、CBSを売却する必要がある。同様にParamount GlobalがFoxを買収することも無理である。

WBDは地上波ネットワークも地上波局も持たないのでParamount Globalを買収することが出来る。映画スタジオとしては2023年のアメリカ国内での興行収入ではトップになる。WBDのCNNはCBSのローカルニュースを得、スポーツでも多くの権利を持つことになる。WBDがParamount Globalを買収することの最大の課題はWDBには$435億の債務があることだ。これは、WarnerMediaのAT&TからのスピンオフとDiscoveryとの合併により出来たもので、Paramountの買収は債務をさらに増やすことになる。Paramount自体にも$156億の借金があり、この買収に対する投資家の評価は低い。

また、Lionsgateも買収対象になっている。Lionsgateはコンテンツ制作事業、それに有料チャンネルとSVODサービス事業のStarzを分離する。映画とTV番組のプロダクション、それに過去のライブラリーはLionsgate Studiosとしてスピンオフされ、SPAC(特別買収目的会社)のScreaming Eagle Acquisition(SEA)社と合併し、上場する。同社の12.7%はSEAとその株主が持ち、Lionsgateは引き続きLionsgate Studiosの87.3%を持つ親会社になる。Lionsgate Studiosはプロダクションとコンテンツ資産だけの会社となり、コンテンツを増やしたい会社の格好の買収ターゲットになる。Lionsgate Studiosの買収を検討するであろう会社としてはComcast、Amazon、Apple等がある。

複数のネットワークが存在した放送の世界とは違い、Direct-to-Consumerでは幅広いコンテンツ資産が必要になる。DisneyはFoxの地上波以外の資産を買っている。CBSとViacomが合併し、Paramount Globalになり、WarnerMediaとDiscoveryが合併し、Warner Bros. Discoveryになり、さらに両社が一緒になる可能性がある。2024年は新たな業界の再編成が起きる年になるようだ。

 

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