Netflixの広告化を加速
Netflixは広告無しのベーシック・プランを終了させる予定で、すでにカナダでは加入は不可能になっている。これによりNetflixのプランは広告付きスタンダート(フルHD、2つの同時ストリーム、ダウンロード無しで、$6.99)、スタンダード(広告無し、ダウンロード可能、$15.49)、プレミアム(UHF、4つの同時ストリーム、$19.99)の3つになる。広告無しのスタンダードとプレミアムへの加入者はアカウントを共有してきた人を有料で追加可能なので、正確にはもう1つ、アカウント追加のプランがある。
メンバーの追加はアカウント共有の取り締まり強化に沿って発表されたもので、同居していない家族等をスタンダードプラン加入者は一人、プレミアム加入者は2人までを$7.99で追加する事が出来る。アカウント共有してき利用者がNetflixを続けたい場合は、追加メンバーになるか、あるいは新規に加入することになる。
これまでのアカウント共有者が新規加入する場合、高価な広告無しスタンダード、あるいはプレミアムは対象外であろうから、広告無しベーシック($9.99)と広告付きスタンダード($6.99)の2つが選択肢であった。しかし、ベーシックが無くなったので、追加メンバー、あるいは広告付きスタンダードの二択になる。追加メンバーのプランは広告無しだが、支払いは本アカウント保有者が払うので、他人だと頼みにくいので、正式の加入者になる人の多くは広告付きスタンダードを選ぶであろう。
SVODサービスへの加入動向を調査しているAntennaによると、アメリカでアカウント共有の取り締まりに関する通知があった5月23日の翌日から4日間でのNetflixへの加入者数は1日平均7.3万人で、それ以前の60日間平均から倍増した。26日と27日では1日平均で10万人以上の新規加入があった。
Macquarie Researchはアメリカとカナダでは3000万人がNetflixのアカウントを共有していると推定している。そのすべての人が正式加入することは無いが、3分の1の1000万人でも大きな新しい収入となる。いくらの増収になるかは選ばれるプランで大きな違いが出る。
料金としてはベーシックの方が広告付きスタンダードより$3高いが、広告付きの方が儲かる。Macquarie ResearchはNetflixには1加入者あたり、月に$9の広告収入があると推定している。しかし、Netflixが$9のすべてを得ている訳では無い。Netflixは広告収入の20%程度をコンテンツ事業者に支払っており、さらに広告投稿側のDSP(Demand Side Platform)、それにMicrosoft(NetflixのSupply Side Platform)にもコミッションを支払っている。
これらコミッションは広告収入の約40%になり、Netflixの広告収入は$5程度で、加入者料と合計し、月$12の収入になる。収入はベーシック・プランよりも$2高いので、新規加入者が1000万人として、初年度で$2.4億($2 x1000万人 x 12ヶ月)の違いが出る。Netflixに取り、ベーシック・プランを終了させ、新規加入に対するオプションを広告付きだけにした方が儲かることになる。AntennaによるとNetflixの新規加入者の広告付プラン加入率は18%で、主要SVODでは最も低いが、広告プラン加入者を増やそうとしている。