Netflixがアカウント共有取り締まりで得られる収入

Netflixがアカウント共有取り締まりで得られる収入

Netflixは加入世帯以外の人とのアカウント共有の取り締まりを強化し、加入者に対してアカウントを有料で追加することを可能にする。そのテストは昨年からいくつかの国で行われ、今年のQ1からスペイン、カナダ、ニュージーランド、ポルトガルで正式に開始され、Q2にはアメリカ等でも開始になる。

Macquarie Research社はアメリカでは3000万人が世帯以外の人のアカウントを共有していると推測される。アカウント共有を不可能にすれば、潜在的には3000万の加入者を得られる可能性がある。しかし、これは非現実的な予測である。多くの人はNetflixの視聴を止め、Pluto TV、Tubi、Roku Channel、Freevee等、数多くある無料のAVOD/FASTを使うであろう。

アカウント共有でこれまでNetflixを使っていた人が、合法的にNetflixを使い続けるには2つのオプションがある。1つはアカウント保持者が世帯外の人を有料で追加する方法である。カナダでは最大で1つの世帯外の人を月額$8で追加可能にしている。もう1つの方法は新たにNetflixのいずれかのプランに加入することである。経済的な余裕が無いので、アカウント共有をしてきたのであり、加入するプランは最も安い月額$7の広告付きになるであろう。

3000万のアカウント共有者の内、1000万人が合法的にNetflixの利用を続けるとし、アカウント追加と新規加入が半分づづとする。Netflixがアカウント追加で得られる収入は1年で$4.6億（500万人 x $8 x 12ヶ月）になる。広告付きアカウントへの加入で得られる収入の計算はより複雑になる。サブスクリプション料金は$4.2億になる。これに広告収入が加わる。Macquarie Research社は1加入者当たり、$9の広告料をNetflixは得ていると推定している。

しかし、広告料の全部がNetflixの収入にはなる訳ではない。約20%はコンテンツ事業者と共有される。さらに、Netflixのサーバーサイド・プラットフォームのMicrosoft、それに広告投稿側のデマンドサイド・プラットフォームとのレベニューシェアもある。Netflixが得る広告収入をアカウント当たり、月$5とすると年間で3億で、サブスクリプション料金とでは$7.2億になる。アカウント追加と新規加入の合計は$12億になる。

Netflixとしては、アカウントを共有している人が利用者を追加より、広告付きプランに加入してくれたほうが儲けになる。これまでの広告付きプランは、最も安いベーシックがベースで、画質はHD（720p）で同時ストリーム数は1つである。アカウント追加より$1安いが、画質が落ち、それえほど魅力的ではない。Netflixは広告付きプランの画質をFHD（1080p）に引き上げ、同時ストリームも2つとした。これにより、アカウント追加をするより、広告付きプランを選ぶ人が増えるであろう。Netflixの収入は上記の$12億を上回ることになると思われる。