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なぜ、ケーブルTV事業者がCTVを売るのか?

なぜ、ケーブルTV事業者がCTVを売るのか?

今年の4月にケーブルTV事業者では1位のComcastと2位のCharter CommunicationsがコネクテッドTV(CTV)を開発するジョイントベンチャーを立ち上げた。ComcastはCTV向けOSの技術、それに2020年に買収したCTVプラットフォーム向けのリニア配信サービスのXumoを提供し、Charterは$9億を投資する。先月、このJVの社名はXumoと決定した。

JVの社名がXumoとなったことで、FAST(Free Ad-Supported TV)サービスのXumoはXumo Playになった。Xumo Playは様々なプラットフォーム向けに提供されている以外、ホワイトラベルとしても提供されており、LG等がホワイトラベルでライセンスし、自社で提供している。

Comcastはブロードバンド加入者に対して、ストリーミング・プレーヤーのFlexを無償で提供しいる。また、Flexを内蔵したHisense製のスマートTVのXClass TVがWalmartから販売されている。今後、FlexはXumo Streaming Box、XClass TVはXumo TVにリブランドされる。

JVとしてのXumoが開発するCTVは2023年に発売になる。ストリーミング・プレーヤーはComcastとCharterが加入者向けに提供する以外に他のケーブルTV事業者にライセンスされる。また、Xumo OSを搭載したスマートTVもHisense等のブランドから発売のなる。

ComcastとCharterがCTVに積極的になっているのはブロードバンドサービスが飽和し始めているからである。ストリーミング・サービスの普及によりケーブルTVへの加入者は減少してきた。しかし、ストリーミングはブロードバンドの需要を増やしたことでケーブルTV事業者は潤ってきた。ComcastとCharterのケーブルTV加入者の合計は2019年Q3では3765万件であったのが、2022年のQ3では3187万件に減ってるが、ブロードバンド加入者は5424万件から6251万件に増えている。

しかし、ブロードバンド加入者の増加が鈍り始めている。2020年Q3ではブロードバンド加入者の増加率は前年同期比で5.5%あったのが、今年のQ3では1.9%に減っている。さらに、この増加の殆どはモバイル通信事業者が提供している5Gによる固定無線アクセスのサービスであり、有線ブロードバンド加入者の増加数はたったの3万件であった。

ブロードバンド加入者の増加が鈍っている中、収入を増やすにはAPRUを増加させる必要がある。ケーブルTVでは有料チャンネル、PPV、オンデマンド等の追加サービスからAPRUを増やすことが出来たが、ブロードバンドでは同様なオポチュニティは少ない。ブロードバンド加入者に自社のストリーミング・プレーヤーを使わせることが出来れば、アプリからの収入、デバイス上の広告、自社のFAST/AVODの広告等の収入がある。CTVプラットフォームではトップのRokuの年間ARPUは$44.25になっている。

ケーブルTVのSTBのようにブロードバンドサービスでも加入者が接触するデバイスがあれば、ブランド力が強まり、セキュリティー等の他のサービスをバンドルする機会もある。ブロードバンドサービスが飽和しつつある今、ケーブルTV事業者はCTVでARPUを増やし、同時に新たなサービスのバンドルの可能性を得ようとしている。

 

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