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コネクテッドTVがもたらす放送広告への競合

コネクテッドTVがもたらす放送広告への競合

 

ストリーミングビデオは放送の視聴時間を奪ってきたが、広告では大きな競合では無かった。Netflix等は広告の無いSVODである。Huluは広告収入のAVODとしてスタートしたが、収益を出すことが出来ず、SVODに転向している。しかし、コネクテッドTV(CTV)の普及が状況を大きくと変化させている。

コネクテッドTVの普及率は82%になっており、その半分は毎日ストリーミング視聴に使われている。インターネットで配信されているビデオの視聴時間に占めるCTVのシェアは2017年では52%であったのが、2021年には83%になっている。大画面での視聴が増えることで、ストリーミングのコンテンツも放送と同等になり、放送広告を流すことも可能になった。

CTVからの広告収入が増えることでAVODが成功し始め、その数も増えている。主要なAVODとしてはPluto TV(Paramount Global)、Tubi(Fox)、Roku Channel、FreeVee(Amazon)等がある。Hub Entertainment ResearchによるとAVODの利用者は2020年の40%から2022年には58%に増えている。

さらに、広告付きのSVODも増えている。Antennaによると、新規SVOD加入に占める広告付きプラン選択の率は2019年では19%であったのが、2022年3月では35%に増えている。eMarketerの調査では2017年ではCTV広告の規模は$26億であったのが、2021年では5倍以上の$134億に増えている。2021年での放送広告収入は$659億であったので、CTV広告はその5分の1の規模まで成長している。

CTVの放送広告への競合はさらに大きくなる。Disney+、それにNetflix共に広告付きサービスを開始することを予定している。Disney+の利用者は映画の視聴が多いことからHuluより少ない1時間に4分の広告量にする予定で、加入者の70%は広告付きプランに移行すると予測している。Netflixの広告付きプランの概要は発表されていない。

アメリカとカナダで7458万の加入者を持つNetflixと4400万のDisney+が広告を売り始めることは大きなインパクトを与える。特に、Netflixはこれまで広告を売っていなかった会社であり、既存事業者のシェアを奪うことになる。AVOD、それに広告付きSVODのシェアも奪うが、それ以上に放送広告を脅かすであろう。

加入者の3倍が実際のNetflix視聴者数とすると、2億人を超えており、全米広告のプラットフォームとして十分な規模である。Netflixは放送より細かい視聴データを提供が出来、広告はアドレッサブルになる。放送広告よりNetflixでの広告を好む広告主も増えていくであろう。eMarketerは2025年にはCTV広告の規模は$275億となり、放送広告の40%の規模になると予想している。しかし、これはDisney+、Netflixの広告参入発表前の予想であり、2025年にはCTV広告が放送広告の半分以上の規模になるであろう。

 

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