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ストリーミング視聴時間が地上波を抜く

ストリーミング視聴時間が地上波を抜く


Nielsenが開始したテレビ受像機の利用内訳の調査報告、The Gauge(Nielsen.com/TheGuage)によると5月でテレビ利用時間の26%はストリーミングビデオの視聴で、25%であった地上波放送(Broadcast)の視聴を抜いていた。もっとも多かったのはケーブル(多チャンネルサービス総称)の視聴で39%を占めていた。残りの9%はゲーム、Blu-ray/DVD等での利用であった。

この調査の内訳は利用されたサービスの利用時間であり、媒体の内訳ではない。地上波の視聴はケーブルTV経由であっても、ケーブルの視聴には含まれず、地上波放送の視聴になる。ケーブルとしての視聴は多チャンネル向けネットワークだけであり、ケーブルTV事業者が提供しているVODは含まれない。ケーブルTV事業者のVODはストリーミングだが、サービスとしてNetflix等のストリーミングサービスとは異なり、その他の分類に含まれている。

ストリーミングビデオの視聴時間が地上波放送を抜いたが、地上波とケーブルを合計した放送全体は64%で、ストリーミングの2.5倍以上ある。だが、放送は安泰だとは言えない。The GaugeはTV世帯におけるテレビ利用時間の内訳であり、ストリーミングビデオを利用していない世帯も含まれる。また、この結果はテレビの視聴時間が長い65歳以上に引きずられる。Nielsenの統計では2020年Q3での65歳以上の人のテレビ受像機利用時間は週50時間55分であり、18歳から34歳の視聴時間は17時間58分でしかない。

The Gaugeは別々に測定されたいた放送とストリーミング視聴を1つにまとめる、Nielsen Oneの第一歩であり、クロスメディア測定を求めてきた業界に応えている。しかし、The Gaugeの根本的な問題はテレビ世帯がベースになっていることである。テレビ放送を見るにはテレビ受像機が必要であった時代であれば、分母がテレビを保有している世帯で正しい。しかし、ストリーミングビデオを見るのにはテレビ受像機なしでも可能である。

現在のテレビ保有率は96.2%であり、約4%の世帯はテレビを持っていない。しかし、これら世帯でもコンピュータ、スマートフォン等でストリーミング視聴をしている。Nielsenの統計ではテレビ世帯でも、その90%は地上波アンテナの保有、あるいは多チャンネルサービス(vMVPD含む)への加入も無く、すべてブロードバンドでテレビを視聴している。これら世帯ではテレビもあるが、コンピュータ、あるいはモバイル端末でのビデオ視聴が多いと思われる。

これから視聴調査を行う上で、クロスメディアは重要だが、マルチスクリーンである必要もある。ストリーミングビデオが視聴可能であれば、コンピュータでも、スマートフォンでも、タブレッドでも、スマートディスプレイでも、テレビ受像機と同じである。これらを含めても、1日7時間以上テレビを見ている65歳以上の影響力を緩和出来ないかも知れないが、テレビ世帯を視聴のベースにすることは出来なくなっている。

 

 

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