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通信事業者のメディア事業からの撤退

通信事業者のメディア事業からの撤退

 

AT&Tは2月に同社の多チャンネルサービスのDirecTV、Uverse TV、AT&T TVを新生DirecTV社としてスピンオフした。新しいDirecTV社はAT&Tが70%を保有し、投資会社のTPGが30%を購入した。AT&Tは2015年に負債を含めて$671億で購入したDirecTVを売却しようとしてきた。しかし、DirecTVの加入者は2017年Q1の2101万世帯から2020年Q3には1360万世帯に落ちており、買い手はいなかった。今回のスピンオフでのDirecTVの価値は$163億と減っている。

 

そして、5月には2016年に$850億で購入したWarnerMediaも切り離した。別会社となったWarnerMediaはDiscoveryと合併される。AT&Tは新しい会社の71%の株を持ち、Discoveryが29%を持つが、新しい会社のCEOとしてはWarnerMediaのジェイソン・カイラーではなく、Discoveryのデイビッド・ツァスラブ氏が就任する。AT&TはDirecTVの70%、WarnerMediaの71%を持つが、経営には参加しない。

 

最近にメディア事業から撤退した通信事業者はAT&Tだけでは無い。VerizonはOTTサービスに参入するためにIntelのOnCue部門を2014年に$2億で購入し、2015年にGo90をローンチした。そのコンテンツと広告技術のために、2015年に$44億でAOLを買い、2016年には$45億でYahooを得た。その後もVessel、AwesomenessTV等に投資するが、Go90は成功することなく、2018年に終了となった。Verizonは4月にAOL、Yahoo、その他の系部門のVerizon Mediaの90%をApollo Global Managementに$50億で売却した。

 

T-Mobileもメディア事業参入のために、2018年にIPTV事業者のLayer3 TVを$3.25億で買収した。T-MobileはLayer3 TVのサービスをvMVPDとしてリブートする予定であった。しかし、Layer3 TVの技術はvMVPDとしては使えず、結局はMobiTVの技術で、TVisionを2020年10月にローンチした。そのTVisionもコンテンツ契約等の問題で、6ヶ月しか続かなく、4月末にサービス終了となっている。

 

VerizonはまだFiOS TVを続けているが、加入者数はピーク時から100万世帯減り、377万世帯に落ちている。実質的に通信事業者の3社はメディア事業から撤退し、5Gにフォーカスすることになる。

 

メディア事業で成功するのは簡単ではなく、必ずしも通信とのシナジーがある訳ではない。通信事業者のメディア事業からの撤退はこれが初めてのことではない。VerizonはBell AtlanticとGTEの合併で2000年に誕生した会社だが、1990年代にはGTE、Bell Atlantic共にもケーブルTVに参入し、撤退している。AT&Tも1999年に当時では最大のケーブルTV事業者であったTele-Commutations, Inc.を買収したが、活かすことは出来ず、2002年には資産をComcastとCharterに売却している。同じ間違いを犯すほどに、通信事業者に取りメディア事業には大きな魅力がある。

 

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