■【JCLPシンポジウム参加報告レポート】急増する再エネ100%への企業ニーズ
2019年6月17日(月)、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)*1 主催のシンポジウム「再生可能エネルギー需要の増加によるマーケットへの影響~急増する再エネ100%への企業ニーズ~」が開催された。林横浜市長のオープニング・スピーチやApple
環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデントのリサ・ジャクソン氏の基調講演のほか、G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合で共同議長を務めたばかりの原田義昭環境大臣、鈴木憲和外務大臣政務官が来賓としてスピーチした。
パネルディスカッションでは、高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授がモデレーターを務め、RE100*2 を実践しているリーダー企業と現実的な課題を議論し、2つ目のセッションでは、RE100以外の再エネ需要家として医療、自治体、中堅企業などからの要望と、供給側の現状が話し合われた。いずれも内容の濃い議論だったが、参加者として感じたいくつかのポイントを挙げると、
またJCLP主催の下で発足したRE100に加盟する日本企業*3 らが集まる「RE100メンバー会*4 」が策定した、「再エネ100%を目指す需要家からの提言*5 」が公表された。提言では、以下を求めている。
今後、企業、個人、自治体、教育機関、医療機関など、より多くの人々が需要を示すことで、再エネへの投資拡大が続く好循環が形成されることを期待されている。
シンポジウムの中で、もっとも印象に残ったうちの一つは、再エネ供給者である「みんな電力株式会社」大石代表取締役の「フェアネスを忘れてはいけない」というコメントだ。 需要が増大する再エネ業界は確かに大きなビジネスチャンスの時機を迎えているが、ここで、またどこかに「皺寄せ」するようなビジネスモデルで低価格競争が起こるのは本末転倒だ。これは需要側も購入時に考えなければならない点だ。パリ協定前文にある「Just Transition」やSDGsの「No One will be Left Behind」という本質を理解しなければ、そのビジネスは表と裏の顔を持つことになる。これまでとはルールが異なるのだ、ということをもう一度しっかり考え実践の上でも取り込んでいくべきだろう。
注釈
*1: JCLPは持続可能な脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきであるという認識の下に設立した、日本独自の企業グループで
を活動目的としている。
*2 :RE100はThe Climate Group ( https://www.theclimategroup.org/RE100 ) がCDP( https://www.cdp.net/en ) とのパートナーシップのもとで主催。We Mean Business連合の一部としても運営している。日本では2017年4月より、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP https://japan-clp.jp/ )がRE100の地域パートナーとして、日本企業の加盟を支援している。
*3: RE100参加日本企業:19社 (2019年6月現在、参加順)
株式会社リコー、積水ハウス株式会社、アスクル株式会社、大和ハウス工業株式会社、ワタミ株式会社、イオン株式会社、城南信用金庫、株式会社丸井グループ、富士通株式会社、株式会社エンビプロ・ホールディングス、ソニー株式会社、芙蓉総合リース株式会社、生活協同組合コープさっぽろ、戸田建設株式会社、コニカミノルタ株式会社、大東建託株式会社、株式会社野村総合研究所、東急不動産株式会社、富士フイルムホールディングス株式会社
*4: RE100メンバー会:日本における再生可能エネルギーの普及を推進すべく、RE100に参加する日本企業らが集まり、専門家や政策立案者等との対話を通じて、メンバー同士の協働や政策提言などの実施を検討する会合。 参加者:RE100加盟企業、JCLP会員、専門家等。主催:JCLP、協力:The Climate Group。
https://japan-clp.jp/archives/2755
*5: 再エネ100%を目指す需要家からの提言 ( RE100メンバー会)
[関連情報]
RE100 http://www.re100.org/
THE CLIMATE GROUP https://www.theclimategroup.org/RE100
グリッド&ファイナンス・アドバイザーズのレポートは
Grid and Finace Advisors Blog オリジナル(外部リンク)