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温暖化対策とビジネスの関わり

 

■温暖化対策とビジネスの関わり

温暖化対策への考え方が変わりつつある。かつては、経済価値と環境価値は両立しないとされたこともあった。今やそうではない。温暖化対策は企業にとってコストではなく「競争力の源泉」であり、環境問題に積極的な企業には、「世界中から資金が集まり、次なる成長と更なる対策が可能とな」りさえするという*1。日本政府が23日公表した長期戦略案*2もこのようにみている。

 


 

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巨大な資金、技術力を有するビジネスの力を最大限活用し、ビジネス主導の非連続なイノベーションを通じた「環境と成長の好循環」の取り組みを実現しつつ、2050年までに温室効果ガス排出量の80%の削減に大胆に取り組み、今世紀後半の早期に「脱炭素社会」の実現を目指すとしている。長期戦略はパリ協定に基づいて国連に提出するもので、長期戦略案は、環境省と経済産業省の合同会合で公表された*3。6 月までの正式決定を目指す。

世界中から資金が集まる企業がある一方で、取り残されてしまう人々もいる。最も貧しく、弱い人々である。ユニセフの最新の報告書*4は、破壊的な洪水、サイクロンなどの気候変動に関連した自然災害がバングラデシュに暮らす1,900万人以上の子どもの命と将来を危険にさらしていると指摘する。

温暖化の影響が顕著にあらわれつつあるバングラデシュのような国では、気候変動の「緩和」と「適応」のうち、適応が重要になる。しかし、現実は、厳しい*5。再生可能エネルギー、省エネ設備といった「緩和」に資する技術やソリューションは、企業もビジネスの「機会」として捉えやすい一方で、「適応」は「機会」としてのイメージを捉えにくいという。ファイナンスが気候変動の財務影響を強く意識すればするほど、(一見儲からなさそうな)「適応策」に資金が流れにくくなり、適応対策も進まないことにもなる。

ユニセフの報告書は、気候変動の影響から子どもを守るための幅広いイニシアティブの実施支援を求めている。例えば、塩害が深刻な地域では、海水の侵入から飲料水を守る技術「Managed Aquifer Recharge(管理された帯水層の涵養)」の導入を進めている。公的資金にも限りがある。一見儲かりそうもないこうした分野こそ、民間企業が「課題解決のための創造性とイノベーションを発揮*6し、資金を呼び込むことが期待されているのではないか。投融資しがいのある事業でありながら、最も貧しく、弱い人々にも受益が行き渡るように仕立て上げる。そのためにはまず、長期的な視野をもって課題に向き合うことが求められる。それは、企業や金融が、金銭利得に先立つ環境、社会的価値をどこまで受け入れられるかにもかかっている。

 


参考資料

*1 平成 30 年第 17 回未来投資会議議事要旨 安倍首相の発言(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai17/gijiyoushi.pdf)p.8
*2「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/chikyukankyo_godo/pdf/049_04_00.pdf
*3 2019年4月23日「第49回 中央環境審議会地球環境部会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会 合同会合」(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/chikyukankyo_godo/049.html
*4 2019年4月5日ユニセフプレスリリース「バングラデシュ・気候変動 洪水、サイクロン、干ばつ、海面上昇など1,900万人以上の子どもの命と将来に影響ユニセフ、報告書発表」(https://www.unicef.or.jp/news/2019/0057.html
*5 朝日新聞GLOBE+2019年3月12日付「温暖化が直撃する国に資金が来ない 「気候変動とカネ」の厳しい現実」(https://globe.asahi.com/article/12200981
*6 「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」、第67項(民間企業活動)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf



 

 

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