Venu Sportsのインパクト
Disney、Warner Bros. Discovery、それにFoxの3社のスポーツ配信のジョイントベンチャーの名称はVenu Sportsに決まった。Venu Sportsは3社が多チャンネル向けネットワーク、あるいは地上波で放送している試合をストリーミングで提供する。Disneyはスポーツ専門のストリーミング・サービス、ESPN+を提供しているが、これには多チャンネル向けネットワークのESPNが放送する試合は含まれていない。Venu Sportsにより時初めて多チャンネルサービスへの加入無しで、メージャー試合を見ることが可能になる。
調査会社のHorowitz Researchが2008人のスポーツ視聴者を対象に行なった調査によると、Venu Sportsの価格が$35~$40あった場合、42%が加入する可能性が高い、あるいは非常に高いと答えている。年齢別では、49歳以下が強い関心を示しており、加入する可能性が高い、あるいは非常に高いのは18~34歳では58%、35~49歳では57%となっている。50歳以上では23%と低くい。
これは50歳以上のスポーツ視聴者は多チャンネルサービスに加入しており、満足しているためであろう。多チャンネルサービスは$100以上だが、スポーツ以外の番組も見ているのであれば、Venu Sportsにスイッチする必要は無い。だが、49歳以下では多チャンネルサービスはスポーツのためであり、ドラマ等の視聴にはSVODを使っている可能性が高い。そうであれば、既存の多チャンネルサービスではなく、インターネットで提供されているvMVPDを選ぶ可能性が高い。vMVPDは価格が安いだけでなく、シーズンが終了したら簡単に脱退することが出来る。
Aluma Insightsが行った調査では既存型の多チャンネルサービスに加入している人の48%は多チャンネルサービスが最も使うビデオサービスだと答えている。既存型の多チャンネルサービスに加入し、満足しているのであれば、Venu Sportsに加入する必要は無い。これに対して、vMVPD加入者では、vMVPDが 最も使うビデオサービスだと答えた人は23%と少ない。スポーツのためにvMVPDに加入し、他のチャンネルはあまり見ないのであれば、Venu Sportsに加入すれば、vMVPDは不要になる。
Venu Sportsは既存の多チャンネルサービス加入者にはインパクトは与えないが、vMVPDから加入者を奪うことになる。特にスポーツを重視しているvMVPDのFubo TVには致命的になるかも知れない。Fubo TVへの加入者数はQ1で151万人で、vMVPDでは4番目であり、競合のYouTube TV(Google)、Hulu with Live TV(Disney)、Sling TV(Dish)と比べると会社規模も小さい。Fubo TVはVenu Sportsはカルテルだとして、解体を求める訴訟を起こしている。