世界各国のリアルタイムなデータ・インテリジェンスで皆様をお手伝い

詳細検索

お問合せ

03-3582-2531

電話お問合せもお気軽に

 

ソフトウェア定義の自動車とは何か?

現在、自動車業界で最もホットな話題のひとつが「ソフトウェア・デファインド・カー(Software-Defined Car)」だ。このコンセプトは、自動車エコシステムの様々な関係者が、自動車におけるソフトウェアの重要性の高まりを説明するために、何年も前から使われている。この概念は2012年にテスラによって提唱され、その人気は年々高まっている。

ソフトウェア定義の自動車は、基本的にソフトウェアに依存して、自動車の様々な側面を制御、管理、最適化する。ハードウェアが機能の大部分を決定していた従来の自動車とは異なり、ソフトウェア定義の自動車は、エンジン、トランスミッション、ブレーキシステムなどの重要なコンポーネントを制御するために、洗練されたソフトウェアシステムを活用する。

100年以上にわたって、自動車はソフトウェアではなくハードウェアが大きな差別化要因となってきた。これはおそらく近い将来に変わろうとしている。しかし、すでに起こっているかどうかは定義の問題であり、「真の」ソフトウェア定義の自動車という概念が使われることもある。現在明らかになっているのは、ソフトウェア定義車の基準を満たす車が何百万台も走っているということだ。テスラはソフトウェア・デファインド・カーを開発する際のリーディング・カンパニーの1社としてよく名前が挙がる。

今日のスマートフォンと同様に、ソフトウェア定義の自動車は、OTA(Over-The-Air Update:無線アップデート)によって、その寿命の間に変更することができる。そのため自動車メーカーは、顧客に販売した後でも自動車の性能を向上させる機会を得ることができる。OTAアップデートは、最新技術を継続的に追加できるため、自動車メーカーが車内でインフォテインメントやアプリの最新バージョンを提供するのにも役立つ。ソフトウェア定義のクルマがもたらすもうひとつの利点は、ドライバーがクルマを修理工場に持ち込むことなく、クルマのバグを素早く修正できることだ。また、販売時点ではクルマに搭載されていなかったかもしれない新機能を追加することも可能だ。OTAアップデートは、クルマの特定の機能や特徴を無効にしたり有効にしたりするのにも利用できる。例えば、テスラやメルセデスは、OTAアップデートによって促進されるサブスクリプションを通じて、車のモーターパワーを遠隔操作でアップグレードしたり、自動運転機能を購入したりする機能を顧客に提供している。

自動車メーカーやその他のエコシステムがソフトウェア定義の自動車を重視していることは明らかだ。しかし、顧客はどうだろうか?自動車メーカーにとって重要な課題は、Software-Defined Vehicleから派生する機会を、顧客に課金できるサービスに変えることだ。顧客が販売店に入ってソフトウェア定義車両を求める可能性は低いため、自動車メーカーは、顧客を惹きつける有用なサービスを生み出すために技術を活用することに注力しなければならない。今日に至るまで、自動車メーカーは程度の差こそあれ、コネクテッド・カーやソフトウェア・サービスの収益化に苦戦しており、多くの場合、新車オーナーにこれらのサービスを無料で提供している。BMWの顧客は、ソフトウェアで定義された車両によって促進されるシート・ヒーター機能を利用するためにはお金を払う必要があると告げられたが、この新しいコンセプトには不満だったため、BMWは後にこのシート・ヒーター定額プランの計画を中止した。これは、顧客が自動車購入時に含まれることを期待している機能の一例であり、サービスとしてシートヒーターにお金を払う意欲は非常に低い。

その一方で、最新のインフォテインメント機能や車載アプリを提供する能力は、より多くの顧客がこれらの機能を評価し始めるにつれて、時間の経過とともにますます重要になる可能性が高い。また、ソフトウェア定義車両は、修理工場で物理的に車を修理するのではなく、遠隔操作で車を修理することができるため、自動車メーカーの作業量とコストを大幅に削減することができ、これは顧客の観点からも魅力的である。ここ数年、ソフトウェア関連の不具合が自動車リコール全体の約半分を占めている。これらの問題を遠隔で解決できれば、年間150億米ドルの節約になる。

執筆者:MARTIN CEDERQVIST (Beg Insight社)

 

ページTOPに戻る