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マルチ・カレンシーの問題

マルチ・カレンシーの問題

これまで放送広告の取引での共通カレンシーはNielsenの視聴統計であった。しかし、マルチスクリーンへの対応に遅れる等の理由で同社に対する不満が高まり、TVネットワークは新たな視聴メジャーメントを探し始めた。最もNielsenに批判的であったNBCUniversal(NBCU)は2021年の冬季オリンピックでiSpot.tvをテスト採用し、2022年から公式に採用した。

NBCUはNielsenも採用しているが、昨年のUpfrontでは40%の広告取引はこれまでの性別と年齢を使った統計での取引では無くなっており、2024年には全ての取引は新しいカレンシーになると語っている。NielsenはiSpot.tvを中心にしているが、その他にもVideoAmp等27の新しいメジャーメントを提供する会社も認証している。

今年のUpfrontに向けてはWarner Bros. DiscoveryがVideoAmpの採用を発表しており、DisneyはSamba TVとEDOと契約した。iSpot.tv等の視聴調査会社は、すべてデータをスマートTVから得ている。スマートTVには自動コンテンツ認識(ACR)機能があり、媒体が放送でもストリーミングでも視聴されている番組、あるいは広告をほぼリアルタイムで把握することが出来る。

また、広告視聴の質に関するデータも重視されている。iSpot.tvはパネル調査を使い、どの程度の人が広告ブランドを認知したのか、あるいは広告からどのような印象を得たか等も調査している。EDOは広告が放送された直後のインターネットの動きから広告に対するエンゲージメント度を調べている。さらに、NBCUは2024年からMarketCastとの協力で番組コンテンツの広告への影響を示すContent Quality Indexをスポンサーに提供していくことを発表している。Content Quality Indexは番組が広告の認知度に与える度合いを数値として提供する。

これまでのように広告カレンシーはNielsenではなく、複数のメジャーメントがあるマルチ・カレンシーの時代になっている。視聴者数だけではなく、より詳細なデータがあることは良いが、問題は基準がなくなったことだ。Nielsenをどこまで信頼するかは別として、Nielsen統計を基準とすることで、比較が出来たが、それが無くなっている。

2月19日のスーパーボウルLVIIの平均視聴者は1.13億人で、ピークのハーフタイム・ショーに視聴者は1.187億人とNielsenは発表している。しかし、AdImpact社によると試合開始時点の視聴者数が9880万人、ハーフタイムが1.235億人、視界終了時は1.134億人であった。iSpot.tvは家庭のテレビでの視聴者数が1.284億人で、さらにバー、レストラン等の家庭外で1640万人が視聴をしたと報告している。共通カレンシーが無い時代が始まっている。

 

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