広告付きNetflixプランの難しさ

広告付きNetflixプランの難しさ

11月に開始した広告付きNetflixの広告料金はCPMが$55～$65となっている。Upfrontで契約されたテレビ広告は$45であり、30%以上も高い。それでも、強い関心を集めているのは、テレビ広告ではリーチ出来ない層が対象になるからである。Netflixのコア視聴者は広告が嫌いで、コードカッティングしてテレビ放送を見なくなった人たちであり、彼らにリーチ出来る価値は高い。しかし、それは容易なことではないようだ。

Digidayの報道によりと、Netflixは保証した広告視聴者の数を満たすことが出来ず、返金をしている。Netflixの加入者を調査したAntennaによると、11月に新規にNetflixに加入した人の内、広告付きのBasic with Adsへの加入は9%でしかない。

広告付きへプランの新規加入者、あるいは既存加入者の移行が少ない1つの理由は、価格が$3安くても加入、あるいは移行する魅力が低いからである。NetflixはNetflixはBasic、Standard、Premiumの3つのプランを提供している。BasicはHD画質で、同時に1ストリーム、StandardはフルHDで同時2ストリーム、PremiumはUHDで同時に4ストリームである。同時視聴がある場合は、Basicプランは対象にはならない。Basicの画質は11月にSDからHDに引き上げられたが、フルHD、あるいはUHDに画質を落とす人も殆どいないであろう。さらに、Basic with Adsでは視聴出来ないコンテンツもある。

Netflixに加入し続けている人たちは広告嫌いの傾向が高い。Hub Entertainment Researchが行った調査で、広告付きプランが始まったらどうするかとの質問に対してNetflix加入者の71%は移行しないと答えている、、移行すると答えたのは24%でしかない（残り6%はキャンセルする）。これに対して、Disney+加入者は35%が移行すると答えている（移行しないは54%、キャンセルするは11%）。

広告嫌いな人達に広告を見てもらうにはそれなりの価値を提供しなければならない。Hub Entertainment Researchの調査ではSVOD加入者の58%は広告付きプランに移行する意思はあると答えている。だが、その場合の価格差は広告無しよりも$4～$5安いことである。NetflixのBasic with Adsは一般的なStandardよるも$8.60も安いが、失う機能も多く、十分な価値を提供していない。

12月に広告付きプランを開始したDisney+は、Netflixのように広告付きの値段を下げるのではなく、逆に広告無しを値上げすると言う方法を取った。値段は差はNetflixと同じ$3だが、広告無しを値上げすることで、価格差をより明らかにしている。これまでと同じ料金で見るためには広告付きに移行しなければならない。この方が、広告付きへの移行者は多くなると思われる。しかし、値上げはキャンセルのリスクももたらす可能性がある。果たして、Disney+の戦略は成功するであろうか。