急成長しているCTV向け広告
コネクテッドTV(スマートTV、あるいはFire TV等が接続された、ストリーミング視聴が出来るテレビ)の利用が大きくと増えている。Leichtman Research Groupの調べでは、2022年のテレビ世帯におけるコネクテッドTV(CTV)の普及率は、2020年から8%ポイント増え、87%に達している。普及率だけでなく、利用も増えており、CTVでストリーミング・ビデオを毎日視聴している世帯は2020年の40%から46%に増えている。Convivaによると、2022年Q1に北米でストリーミングされたビデオの再生時間に占めるデバイスの比率はCTVが83%、スマートフォンが8%、コンピュータが5%、タブレットが4%となってる。
CTVの普及は広告に大きな影響を与えている。放送視聴者は減少をしており、テレビ放送のリーチ率は2019年では82.3%に落ち、現在では71%まで減っている。だが、放送広告の利用は減っていなかった。これは、放送広告をリプレースする媒体がなかったためである。YouTube等でビデオ広告を流せるが、尺が短い映像にテレビのような30秒広告は使えない。また、ユーザ投稿のビデオには品質が低いものも多く、ブランド価値を下げてしまうリスクもある。
CTVで視聴されるコンテンツはテレビ同等である。ストリーミングのコンテンツには4K、HDRもあり、放送以上の品質と言えるかも知れない。しかし、ストリーミングサービスは広告媒体ではなかった。トップ3のNetflix、Amazon Prime Video、Huluの内、広告付きプランがあったのはHuluだけである。だが、TVネットワークがOTTで視聴者に直接配信をし始めたことで状況は変わった。Warner Bros. DiscoveryのHBO MaxとDiscovery+、NBCUniversalのPeacock、Paramount GlobalのParamount+には広告付きプランがある。TVネットワークは広告で儲けてきた会社であり、広告収入は重要である。
SVODに広告付きプランが加わっただけでなく、無料のAVODも変わっている。FoxはTubi、Paramount GlobalはPluto TVを買収し、AVODに参入した。CTVプラットフォームとしてはアメリカでは最大の設置台数を持つRokuはAVODのRoku Channelを始め、NBCUniversalのPeacockにはAVOD版もある。大手が投資することで、AVODコンテンツの質が大きくと向上し、利用者も増えた。eMarketer社によるとAVOD、あるいは広告付きSVODの利用者は1.39億人で、インターネット利用者の47%になっている。
eMarketerによると2019年では放送広告は$706億であったのに対してCTV広告は$64億で、10分の1以下の規模であった。今年は放送広告が$684億、CTV広告が$189億で、差は4分の1に狭まる。規模はさらに縮まると予想される。CTV向け広告のCPMはすでに放送広告より30%高い値段になっている。さらに、年内にはDisney+もNetflixも広告付きプランを開始する予定で、2025年には放送広告の半分の規模になると予想されている。