ComcastがスマートTVの発売開始

ComcastがスマートTVの発売開始

多チャンネルサービス事業者で、NBCUniversalの親会社でもあるComcastが欧州とアメリカでスマートTVの発売を開始した。スマートTVを含む、コネクテッドTV（CTV）でのストリーミング視聴が大きくと増えており、Convivaの統計ではストリーミング・ビデオの総視聴時間にCTVが占める割合は北アメリカでは82%、欧州64%になっている。

Comcastが持つ欧州の衛星を使った多チャンネルサービス事業者のSkyはSky Glassと呼ばれるスマートTVを発表した。ラインナップは43型、55型、65型の3機種で、Skyが販売する以外、Sky加入者はリースも可能になっている。価格は43型で買取価格が£649で、リースだと月£13となっている。Sky Grassはブロードバンドで再配信されているSkyの放送を受信し、衛星アンテナ、STB無しでSkyと同じサービスを受けられるようにしている他、BBC iPlayer、Netflix、ITV Hub、All4、Disney+等のSVODサービスも利用することが出来る。

アメリカで発売開始したのはXClass TVと呼ばれ、Comcastのストリーミング・プレーヤのFlexを内蔵したテレビである。43型と50型の2機種でで、43型の価格は$298となっている。Sky GlassはSkyの加入者向けの製品であり、アンテナとSTBを不要にすることで導入を簡単することを狙った製品だが、XClass TVはSamsung、LG、Sony、Hisense、Vizio等からのスマートTVと競合する製品でComcastの営業地域だけでなく、全米でWalmartが販売する。

XClass TVのOSはComcastがSTB向けに開発したX1がベースであり、X1、Flexと同様にNetflix、Hulu、Amazon Prime Video、Disney+、HBO Max、Peacock等のOTTサービスが利用可能である。さらにComcastのケーブルTVサービスと競合するHulu with Live TV、Sling TV、YouTube TV等も利用可能になる。

XClass TVの大きな目的はComcastの全米展開を可能にする事である。ケーブルTV事業者であるComcastは営業地域が限られてきた。Comcastは最大のケーブルTV、それにブロードバンド事業者であるが、その地域には大都市のニューヨーク、ロサンゼルスは含まれていない。

ケーブルTVの加入者は大きくと減っており、ブロードバンド加入者も飽和気味になっている。ストリーミング・サービスのプラットフォームとしてX1を全米で提供する事はComcastの今後に重要になる。しかし、それはRoku、Amazon（Fire TV）、Google（Android TV）、Apple、Samsung（Tizen）、LG（WebOS）と競争することになり、容易な事ではない。しかし、シェアが少なくても営業地域以外の視聴データを得られることは大きなメリットがある。ComcastはFreewheelと言う広告プラットフォーム会社を持っている。営業地域に関しては豊富な視聴者データを持っているが、それ以外の地域のデータは少ない。XClass TVはこのギャップを埋めることを可能にする。