成功に転じたAVODサービス
テレビ番組が最初にストリーミングされた時点での収入モデルは、放送と同様に広告であった。しかし、YouTubeの様に成功はしなかった。YouTubeはウェブのディスプレイ広告と同じにインターネット利用者が狙いである。しかし、テレビ番組のストリーミングはキャッチアップであり、利用者は放送広告も見ている。放送広告をしているのであれば、同じ視聴者を対象に、別途ストリーミングサービスでも広告を買う必要はない。Huluは2008年に広告モデルでスタートしたが、十分な収入はえられるず、2010年から広告付きのSVODになった。
サブスクリプション型のNetflixが大成功し、ストリーミングサービスと言えば、SVODになった。しかし、状況は大きくと変化している。テレビ放送を全く見ず、ストリーミング視聴だけになっている人が増え始めている。彼らにリーチするするにはストリーミングサービスに広告をする必要がある。また、テレビ番組、あるいはそれと同等のビデオの視聴にはコネクテッドTVが使われるようになっている。媒体は異なるが、コンテンツはテレビ放送と同等であり、視聴に使われているデバイスもTV受像機であり、放送広告と同等のCMを流すことが出来る事は、広告主には魅力である。
ストリーミングサービスへの広告は増え、Huluは2019年に$8の広告付きサービスの料金を$6に値下げした。広告無しのサービスとの差は$6になったが、Huluはそれでも広告付きのサービスの方が収益率は高いと語っている。AVODのTubiも利用者が増え、最近にFoxに買収されている。ストリーミング・プレーヤのRokuもAVODのRoku Channelを始め、成功している。
COVID-19の影響でAVOD、それに広告付きのSVODの利用は加速している。在宅時間が増え、ストリーミングでビデオを見る時間が増えていることが、1つの理由である。それと同時に、COVID-19により収入が減った人たちは利用するSVODサービスの数を減らし、AVODの利用を増やしている。
Nielsenの統計によると、2020年Q2でのストリーミング・ビデオサービスの合計視聴時間の77%はビッグ5のNetflix(34%)、YouTube(20%)、Hulu(11%)、Amazon Prime Video(8%)、それにDisney+(4%)が占めている。YouTubeとHuluには広告があるので、77%の内の31%は広告付きサービスで、46%が広告無しのSVODである。
残りの23%の中、その他のSVODサービスは3%であり、広告無しのSVOD合計は49%になる。SVODを引いた残りは、9%が視聴時間が最も多かったのはMVPD(多チャンネルサービス)がストリーミングで提供しているコンテンツ、それにインターネットで多チャンネルサービスを提供しているvMVPDで、広告付きのサービスである。11%はAVOD、Facebook Watch等のSNSのビデオ等で、やはり広告付きになるので、合計は51%になる。ストリーミング・ビデオの総配信時間の半分には広告がある事になる。
Internet Adverting Bureau(IAB)によると、COVID-19の提供で2020年の放送広告は前年比で24%の減少になるのに対して、コネクテッドTV向けの広告とデジタル・ビデオ広告はそれぞれ19%と18%の成長になる。