スマートTVの利用はなぜ低いのか
Nielsenの統計によるとコネクテッドTV(CTV)を保有している世帯は2020年Q2で77%に達している。CTVにはスマートTV以外に、ストリーミング・プレーヤ、ゲーム機等のストリーミングビデオを見ることが出来るデバイスが接続されたテレビが含まれる。もっとも普及しているCTVはスマートTVで、53%の世帯にインターネット接続されたスマートがある。ストリーミング・プレーヤの普及率は48%である。
CTVの普及が進むことで、ストリーミングビデオの再生時間におけるシェアも増えている。Convivaによると、2018年ではストリーミング時間におけるCTVのシェアは50%以下であったのが、2020年Q2では81%と圧倒的になっている。81%の内訳はストリーミング・プレーヤが56%、スマートTVが14%、ゲーム機が11%である。保有率ではトップのスマートTVでの視聴はなぜ少ないのであろうか。
まず、スマート機能は購買者が求めていなくても、テレビに付いてきてしまう。すでにストリーミング・プレーヤを持っていて、スマート機能は不要でもある程度のレベル以上のテレビになると、スマート機能は付いてくる。しかし、スマートTVでは見ることが出来るOTTサービスの数はストリーミング・プレーヤに比べるとかなり少ない。使っているサービスがNetflix、Amazon Prime Video等の主要なサービスだけであれば、スマートTVで問題がない。しかし、少しニッチなサービスだと、スマートTVではアプリが無く、ストリーミング・プレーヤが必要になる。
もう1つの問題はスマートTVのスマート機能は2、3年で使えなくなることである。テレビは毎年、新しいモデルが発売される。その度に新しいプロセッサーが使われ、それを活かす機能が加わり、古いモデルのサポートが終了になる。3年で使っている使っているアプリのサポートが終了になったからと言って、テレビを買い換えるのではなく、ストリーミング・プレーヤを買う事になる。
スマートTVにはアプリが少ない問題を解決したのがRoku を内蔵したテレビである。最もアプリの数が多いRokuを内蔵しているので、見ることが出来ないサービスは少ない。TCLのRoku TVは大成功し、Samsungを追い抜き、アメリカでは最大のスマートTVベンダーになっている。販売されているスマートTVの3台に1つはTCL製である。
Rokuがベースになっているので、アプリがサポートされている期間も長い。Rokuは昨年末に第3世代の初期モデルのサポートを終了したが、これらは6年前の製品である。内蔵のRokuが陳腐化し、ストリーミング・プレーヤを買うことになっても、Rokuを買えば、UIは同じであり、同じアカウントを継続して使えば、自動的に使っていたアプリもダウンロードしてくれる。
ストリーミング・プレーヤでは2番手のAmazon Fire TVを内蔵したテレビも発売になっており、メーカーが独自のプラットフォームを持つのではなく、既存のストリーミング・プレーヤを採用したスマートTVが増えるであろう。スマートTVもストリーミング・プレーヤも同じプラットフォームになれば、スマートTVでのストリーミング視聴は増えていく。