DRI テレコムウォッチャー from USA


このシリーズは毎月20日に掲載!!



拍車がかかるデジタルオーディオ        インターネットがもたらすオーディオ市場の変化

2001年3月20日号

 テレビとコンピュータの融合は1980年代のビデオテックスにさかのぼり、製品としてはインターネットTV、デジタルビデオ、PCのビデオキャプチャー等その種類は多くある。しかし、オーディオとPCの融合は一歩遅れを取ってきた。マルチメディアPCの登場でPCにオーディオ機能が加わったが、その機能を使うのはゲーム程度でしかなく、PCとオーディオの接続のニーズは殆ど存在しなかった。しかしインターネットにより急速な変化を見せ始めている。
 オーディオとPCの接近をもたらしている大きな要因の1つはMP3である。インターネットによるMP3の提供でポータブルMP3プレーヤーがヒットして、昨年130万台のポータブルMP3プレーヤーが米国で売れ、そのベンダー数は60社以上になっている。MP3の普及で、PCに保管されている音楽ファイルを演奏するデバイスも登場している。1つはDell ComputerのDigital Audio Receiverで、この製品はホームネットワーク(HomePNA、あるいはイーサネット)でPCに接続し、ハードディスクに保管されている音楽ファイル(MP3とWMA)を探し、演奏する。デバイスには20ワットのアンプが内蔵されており、そのままスピーカに接続できる。製品は219ドルで、Dellのウェブで販売されている。競合のGatewayもConnected Music Playerと呼ばれる類似した製品を発表したが、販売はされていない。
 MP3プレーヤーは、自動車オーディオにも広がっている。SONICBlue(旧名S3)はそのRioブランドのウェブサイトで、4種類の自動車向けMP3プレーヤを販売している。価格は最も安い10GBディスクのモデルが1,199ドルで、最高の1000時間のMP3ファイルが保存可能な60GBのモデルで1,999ドル販売されている。これら製品は、ダッシュボードからスライドアウトし、PCにUSBで接続しMP3ファイルを転送できる。フォード自動車からスピンオスした自動車エレクトロニックス会社のVisteonも同じような製品を開発しており、そのウェブサイトで販売をする予定である。
 MP3だけでなく、インターネットでのオーディオ放送(ストリーミング)も普及が進んでいる。インターネット上のラジオ局(オーディオサイト)の数は1万以上になっており、インターネット・ラジオ専用のプレーヤーも登場している。1つは3Comが昨年7月に買収したKerbangoの製品で、Amazon.comが300ドルで販売している。Kerbangoは、81 MhzのPowerPCを搭載し、Kerbangoのウェブでインデックスしている5000以上の局からダイアルで好みの局を選べる。この他、AudioRamp社もミニコンポタイプのiRAD-Sとコンポ型のiRAD-Cと呼ばれる製品を販売している。AudioRampの製品は、ストリーミング放送を機器だけでなく、ハードディスクを内蔵してMP3ファイルの保存、演奏も出来る。製品はどちらも599ドルで、同社のウェブで販売されている。
 インターネットでのデジタル・オーディオ放送だけでなく、ラジオ放送のデジタル化も進められている。近々、衛星を使ったデジタルラジオ放送(Digital Audio Radio Services - DARS) が始まる。サービス提供者のSirius Satellite RadioXM Satellite Radioは共に衛星の打ち上げを完了しており、今年の前半にはサービスが開始される。月々約10ドルの料金で、100以上のCD品質のチャンネルを受けることが出来る。FCCの働きでにより、同じ技術を採用しているので、レシーバーは共通である。どちらも最初は、自動車向けの市場を狙っている。
 FM、AM放送のデジタル化に関しては、FCCが方式を検討中であり、サービスはまだ開始されていない。しかしテレビ放送のデジタル化とは異なり、新しい周波数を使わずに、既存の電波にデジタル信号を乗せることが出来き、放送の為のコストもテレビのデジタル化より低いことから、サービスが開始されれば、普及は早いと思われる。
 MP3の爆発的な流行、インターネット・ラジオの普及に加えて、ラジオのデジタル放送が始まることで、オーディオとPCの融合は急速に進む。ビデオのデジタル化に比べ、オーディオは技術的要求が低く、低コストで実現できることから進み始めれば進歩は早く、先に始まっているビデオとPCの融合にすぐにキャッチアップするであろう。コンピュータ分野の会社は、デジタルオーディオの研究に力を入れ始めている。Intel、Texas Instrument等の会社は、今年のConsumer Electronic Show(CES)でデジタル・オーディオ向けの製品を公開した。デジタル・オーディオには急速に拍車がかかっており、今年の大きなトレンドとなる可能性がある。

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