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キオスクへの期待        〜B2Cの新しいツール〜

2001年2月20日号

 インターネットでのビジネスとしてB2CのEコマースは大きく期待されたが、予想された成長を遂げることが出来ず閉鎖になるサイトが増えている。インターネットが普及しているとはいえ、家庭からアクセスのある世帯の率は2000年末でまだ35%であった。その全部がインターネットでショッピングする訳ではなく、それほどの成長が無くても当然である。インターネットへのアクセスの無い世帯を狙うB2Cの新しいツールとして公共端末(キオスク)への関心が増している。

 キオスクは、家庭へのPCの普及がまだ低かった1980年代に情報アクセスを広く提供する為のツールとして登場した。観光地等での案内、広告、そして電子政府のツールとして期待された。しかし、コストの割にはこれと言ったアプリケーションは育たなく、ホームPC、それにインターネットの普及と共に関心は減っていった。しかし、キオスクのハードウェアコストは下がり、さらに通信コストも非常に安くなり、さらにウェブ・インタフェース、Eコマースの登場によりキオスクへの興味が再燃している。昨年にKiosk Business誌がキオスクを使っている1200の会社に対して行った調査では、その10%の会社が2001年には2000年の8倍の規模のキオスクを導入する予定だと答えている。

 キオスクの1つのタイプは専用機能のものであり、高機能ATMはこのタイプに入る。ATMのキオスク化に熱心な銀行の1つはWells Fargoである。Wells Fargoは、1998年から高機能のATMをカリフォルニアで導入しはじめ、通常のATM機能に加えて、アミューズメントパーク、博物館、スキー場等のチケット販売のEコマースを行っている。インターネットでの証券取引で知られるE*トレードもキオスクをビジネスツールとして狙っている。同社は、1999年にTelebank社の買収で銀行業務を始め、2000年5月には全米で第3位の独立系ATMサービスのCard Capture Services社を買収し、その9600台のATMへのアクセスを得た。設置されているCard Capture ServicesのATMは現金引き落とし機能のみのシンプルなタイプであるが、E*Tradeはこれらを高機能のタイプと置き換えて、銀行業務だけでなく証券取引などのEコマースも提供する計画である。

 既存の店舗内でEコマースを提供する方法としてのキオスク導入も始まっている。ウェブサイトでの製品販売も行っている店舗は、その機能を店からも提供するためにキオスクの設置を始めている。ディスカウントで宝石と時計の販売を行っている、Service Merchandise社は、カスタマーサービスの一部としてキオスクをその店舗に導入した。混雑して顧客が店員を待たなければならない時、キオスクで製品を見て値段を比較することが出来る。欲しい製品があればキオスクで注文して、順番が来たときに製品を確認し、購入が出来る。さらに台所アプライアンスのBlack & Deckerと契約し、同社の製品の販売もキオスクで始めている。製品のサンプルはService Merchandise社の店舗に陳列されており、顧客は製品を実際に見てから、オンラインでの注文が行える。

 これら特定のアプリケーションを持つキオスク以外に、インターネットへのアクセスを目的とした汎用のタイプも登場している。インターネット・キオスクは、Advantis Public Internet Access、NetNearU、WebRaiser Technologies等の会社が製品を提供している。これらの製品の接続には、サービスプロバイダーが必要になる。端末の会社毎に異なるISPであった場合、支払方法等が異なり不便になる。Public Access Terminal Networks(PATN)社は、これらインターネット・キオスクへのアクセスを提供し、さらにユーザ認証、決済を一括して提供するサービスを行っている。同社のビジネスプランは、自らがキオスク利用のためのカードを発行するのではなく、カードはPATNと契約したISP、電話会社等が発行し、その顧客に提供する。ユーザは、カードをPATN対応のキオスクのリーダーに入れ、暗証番号を入力すると、PATNはユーザ認証を行い、そのカード発行会社に対応したホームページを表示する。料金は、カード発行会社のビジネスモデル - プリペイド、電話料金に加算、クレジットカード引き落とし等 - に応じた形態で行われる。PATN対応の端末はまだ多くないが、同社は2001年末までには設置台数は10000を越えると予想している。

 キオスクは現在、広告、情報提供の目的で使われており、それ自体が売上を出すものではない。インターネット、それにEコマースの登場でキオスクでビジネスをすることが可能になっており、関心が増している。公共の場でのトランザクションに疑問を持つ意見もあるが、ATMの普及を見ればキオスクの可能性は決して否定できない。これまでの店舗での商売と100%バーチャルなPCからのコマースの間を埋めるツールとして普及する可能性も高いであろう。

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