9月から12月の第4四半期は多くのアメリカ企業に取って非常に重要な時期であり、年商の半分をこの3ヶ月で出す企業も多い。クリスマスは、ギフトだけでなく買い物が多い時期であり、小売業に取ってはこの時期の業績が次年度の戦略に大きくと影響する。小売業の昨年末のショックは、大手モンゴメリー・ワードの倒産である。ワードは、1872年にカタログで日用品を売り始めたカタログ会社のパイオニアであり、その後デパートのチェーンとなり、シアーズ・ローバックに並ぶデパート・チェーンの大手で、全米30州に250の店舗を持っていた。近年売上の減少に苦しんで来たワードは、2000年クリスマス商戦直前にその全店の改装を行いイメージアップをした。しかし売上は芳しくなく、12月30日にワードはその全店を閉鎖するとの発表を行った。
2000年のクリスマス商戦は、ワードだけでなく他の小売チェーンでも悪かった。表に示すように多くの大手チェーンストアにおけるクリスマス前5週間の売上は前年同期のマイナスであった。ディスカウントストアのWal-MartとKmartは売上アップしたが、1%以下の増加でしかない。
2000年クリスマス商戦の結果
店舗名 | 前年との比較 |
Gap | -6% |
Mervyns | -2.4% |
J.C. Penny | -1.6% |
Sears, Roebuck | -1.1% |
Target | -0.1% |
The Limited | 0% |
Wal-Mart | +0.3% |
Kmart | +0.7% |
小売店舗の売上は、オンラインの小売業者に押され減少をするとの予測はあった。しかし、既存の小売店に打撃を与えるはずのオンライン店舗の売上も芳しくはなかった。2000年11月初めから12月24日までのオンラインショッピングの総額はPC Data社によると98億ドルで、前年の47億ドルを大きくと上回った。しかしこれは赤字を出し続けてきたオンライン小売業者を助ける事が出来るほどの成長ではない。また、Nielsen/Net Rating社の統計では、この期間中にアクセスのもっとも多かったオンラインストア15サイトの内、11サイトはBarnesandnobel.com、Walmart.com、JCPenny.com、BestBuy.com、Sears.com、BlueLight.com(Kmart)等の既存小売業者のサイトであった。オンライン小売店の多くはキャッシュが底をつき始めている。1月5日にオンラインのおもちゃ店では最大のeToysは、その1000人の従業員中700人をレイオフすることを発表した。
クリスマス時期は個人消費だけで無く企業の消費も多い。殆どの米国企業の経理は12月締めであり、次年度前に予算を使うことが多い。この為、PC業界も第4四半期の売上が大きな業界である。PC業界の昨年の出だしは悪くなく、昨年12月の前年同期比12%増以上の数字は無理でも10%アップ程度が期待されていた。しかしPCの売上は後期になり落ち始め、12月はなんと前年同期比マイナス24%と言う散々の結果となった。2000年全体での売上は1010万台で、1999年比マイナス0.8%の成長となった。特にカムバックをしていたアップルの売上が悪く、同社はクリスマス商戦中に300ドル以上のリベートを提供したのにも関わらず売上は昨年12月に比べ、マイナス40%であった。
株価の落下に続き、消費も落ちて2001年のアメリカ景気の出だしは良くない。ハイテク産業でアメリカの高成長に大きな貢献をして来たカリフォルニアにはさらに悪いニュースがある。同州は、他の州に先駆け電力業界の規制緩和を行い競争市場を作ろうとしたが、これが失敗しPG&E、エジソン等の電力会社が赤字倒産寸前になっている。カリフォルニアの電力料金が大きくと値上げするのは避けられないだけではなく、すでに始まっている電力不足がさらに悪化する可能性も高い。ハイテク産業には電力が欠かせなく、その料金の値上げ、あるいはその不足はカリフォルニアの景気を急速に冷やす危険性を持っている。