企業間連携システムの開発において鍵を握るのは、国際標準仕様への取り組みである。国際規模で本質的な企業間取引を実現するために、一社でも多くの企業と連携できる統一されたシステムの構築に他ならない。そこで、注目を浴びるようになったのがWebサービスである。このWebサービスは「プラグ・アンド・プレイを基本とし、インターネットを通じたアプリケーションの連携/統合を実現する手段の提供」と定義され、インターネット上で一般公開されたアプリケーション機能を、個人的な目的で使用することができる。プログラミング言語やコンピューティング・プラットフォームの種類に関わらずデータ交換が可能なため、企業間のアプリケーションをリンクさせて、Eビジネスを実現させることもできるのだ。ユーザーに対するWebサービスの利点として代表的なのは、ディレクトリを通じ、任意サービスを検索してアクセスできることである。つまり、顧客とプロバイダーの「マッチング」を行うことでもある。
◆Webサービスの構築に必要な3種の技術
1.SOAP(Simple Object Access Protocol):XML(Extensible Markup Language)を土台として、異なるプラットフォーム上のアプリケーションを連結させるプロトコル。
2.UDDI(Universal Description, Discovery, and Integration):Webサービスの登録や検索を行うためのディレクトリ。企業をはじめサービス、分類に関する情報より構成された登録データはXMLで記述。IBM社、マイクロソフト社、アリバ社が主体となって発足した共同体(現在は100社以上)による仕様であり、W3C標準規格を目指している。
3.WSDL(Web Services Description Language): XMLを基盤としたWebサービスのインターフェース記述言語で、IBM社およびマイクロソフト社が中心となってサポートを行っている。複数のWebサービス間のコミュニケーション・ツールとしての役割を果たしている。
◆米国Webサービス分野における主要プレーヤー上述した技術を活用し、米国においてWebサービスの普及に向け主導的立場にあるのがマイクロソフト社(Microsoft.NET)、IBM社(Dynamic e-business)、サン・マイクロシステムズ社(SunONE)の3社である。
1.アプリケーション統合に精通したIBM社は、UDDIのサポーターとしても主導的立場にある。同社ではUDDIを「Websphere」と呼ばれるウェブ・サーバーに組み込んでいる。オープン指向を掲げるIBM社では、Java基盤のSOAP実装技術をApacheProjectに寄与したり、WSFL(Web Services Flow Language)*に関する構想を一般公開する等、標準化を目指した活発な動きを展開している。*WSFL(Web Services Flow Language)とは、複数のWebサービスを一連のサービスとして整理する(フロー定義)ためのXML言語。
http://www-106.ibm.com/developerworks/webservices/
2.マイクロソフト社(以下:MS社)もIBM社同様、UDDIを積極的に支持している。ただ異なるのは、同社が消費者を意識したB2Cへのアプローチを取っている点である。「.NET」の新たな戦略には、コンシューマー・アプリケーションの利用を前提としたWebサービスの包括的なコレクションも提唱されている。また、SOAPの地盤固めを行った上で.NETサーバ・アーキテクチュアにXMLを採り入れるなど、分散コンピューティングに対するWebサービスの重要性を説いている。http://www.microsoft.com/net/default.asp
3.IBMやMS社を追いかける形でスタートしたサン・マイクロシステムズ社(以下:サン)は、2001年初頭「Sun One (Open Net Environment)」の発表を皮切りに、Webサービスのより具体的な方向性を明示しはじめた。サンでは共通標準であるSOAP、WSDL、ebXML*を支持。iPlanet Eコマース・ソリューションズのApplication Server 製品の他に、企業を対象とした開発ツール「Forte IDE」へWebサービスのサポートを行っている。リソース・アダプタの開発を目的に、J2EE(Java 2 Enterprise Edition)およびJava Connector Architectureを活用している。 * ebXML (Electronic Business XML) は電子ビジネス向けの標準フレームワーク。またはそれを策定する業界団体を指す場合もある。1999年11月、OASISおよびUN/CEFACTが中心となって設立し、2001年5月にebXML仕様1.0を策定。http://www.sun.com/software/sunone/
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