米(ベイ)エリアIT通信


CRMが顧客と企業に果たす役割

2002年2月号

 経済状況の変動はビジネスの形態に影響を与え、その結果として顧客主導型の事業活動へと移行してきた。この顧客戦略を総称するCRM(Customer Relationship Management)は「マーケティング、販売、顧客支援の3要素を一貫統合した全方位の顧客観点」とも表現できる。近年、企業が事業の在り方や顧客との関係を再検討する際、顧客が本当に要求しているモノやサービスとは何か、を顧客の立場から検証し、個々人の細かいニーズを満たすような事業展開を行う必要性が出てきた。CRMは単に技術アーキテクチュアとしてではなく、企業全体に広がる様々な組織を統轄した戦略とも捉えることができる。従って、顧客と円滑なコミュニケーションを図るためのチャンネルをはじめ、多様なツールや知識ベース、ウエブ・ポータル、販売効果システム、CRM分析システムはいずれも上述した3要素の立役者なのである。

 企業がCRMによる新たな収益レベルに到達するには、複雑さを伴うが効果の高いCRM活動を開拓し、実現していくことが必須条件である。米国においてのCRM活動は、最近までコールセンターのテレフォニ・インフラ、あるいはフィールド・セールス(元来、外回りの営業職を指すが、IT業界ではモバイル対応の顧客管理システムや機器の市場を表現する場合もある)の自動化に焦点を絞っていた。しかし、競争が激化する今日の国際市場では、CRMへの期待とニーズはさらに膨らみ、多様化さえしている。したがって、顧客のコンタクト・センターは、電話によるコール・センターやEビジネス・サーバ、Eメール・マーケティング、顧客支援アプリケーション等との統合を前提としている。今後はもっと多様なハンドヘルド機器やPDA、携帯電話を通じたMコマース向けアプリケーションとの統合も注目を集めていくことになる。

 CRMの成果は、顧客のみに留まらず企業の在り方にも反映してくる。つまり、もともと前進的な理念を持った企業が、CRMの導入により、さらに前向きな姿勢で製品の流通、販売、顧客とのコミュニケーションの向上を目指すようになるからである。企業が寄せる「再構築」への期待は、CRM市場が急速な成長を遂げている要因のひとつでもある。事実、景気低迷にありながらも、米国ではCRMにおける斬新なアイデアや、収益性が垣間見える企業に対しては、十分な投資機会が待ち受けている。エンドユーザーをはじめSI企業やサプライヤの間で加速するCRMへの認識と専門知識がその需要を先導し、市場の成長をしっかり支えていくものとされている。以下は、主要なCRMの分類(マーケティング活動、販売活動、顧客支援活動)とそれぞれの機能をまとめたものである:

◆マーケティング活動
* キャンペーン管理
* リード管理
* リードの誘発およびトラッキング
* CRM分析および個人化
* Eメール・マーケティング
* 個人化および推薦用のエンジン

◆販売活動
* セールスフォースの自動化
* コンタクトおよび販売機会の管理
* 将来予測および報告
* 価格設定およびコンフィギュレーション・ツール
* パートナー関係管理

◆顧客支援活動
* 顧客コンタクト・センター
* 顧客コール・センター
* コールのロギング、トラッキング、分散
* 顧客支援向けEメール管理
* セルフサービス・システムおよびナレッジ・ツール
* フィールド・フォースの自動化およびフィールド・サービス
* ヘルプデスク

(c) 2002 KANABO Consulting


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