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eスポーツのプロフェッショナル化の世界動向

eスポーツのプロフェッショナル化の世界動向

一般財団法人マルチメディア振興センター

七邊信重

eスポーツの概要

「eスポーツ(e-Sports)」とは、ビデオゲーム(以下、ゲームと表記)を用いた競技スポーツのことである。ゲームを使った競技は、1970年代からプレイヤー間で行われてきた。また、ゲーム会社やテレビ局などが、宣伝や番組放送のためにこれをイベントとして実施することもあった。ただし、1970~1990年代半ばには、「eスポーツ」はアマチュアのみによって行われていた。

「eスポーツ」が世界で大きな注目を集めるようになるのは、ゲームプレイが「職業」になってからである。1990年代後半以降、米国や欧州、韓国、中国などでは、「CPL」「ESL」「WCG」のような賞金の出るプロリーグやトーナメントが相次いで開催されるようになった。これらの大会は、入場料を取る興行として行われるだけでなく、他のプロスポーツと同様、テレビや動画配信サイトでも放送・配信されている。また、大手ベンダーや通信会社 [1] が大会やプロチームのスポンサーになっている。

世界中の大会を転戦して、賞金等で生計を立てる「プロプレイヤー」も増加している。2015年の賞金獲得額の上位5名はいずれも賞金だけで1億円以上を獲得しているが、これに加えて、時に賞金額を上回るほどの収入を得ている [2] 。また、プロプレイヤーは金銭だけでなく名声も得ている。たとえば韓国では、2000年代半ばにすでにプロゲーマーがプロ野球選手や韓流スターのような人気を獲得し、写真集などが出版されていた [3]。

 

2 競技対象となるゲーム

eスポーツ用に使われるゲームには、FPS(First Person Shooting)と呼ばれる一人称視点のシューティングゲーム、RTS(Real Time Strategy)と呼ばれるリアルタイムでプレイされる戦略ゲーム、Fighting Game(格闘ゲーム)などがある [4] 。近年は、MOBA(Multiplayer Online Battle Arena)と呼ばれる、RTSの発展型の、プレイヤーが複数人同士で対戦する戦略ゲームが人気を集めている。「League of Legends」(Riot Games/テンセント)や「DotA2」(Valve)などがMOBAの代表的な作品である。

 

3 人気の規模

数万人の観客を集めるeスポーツ大会が世界各地で開催され、テレビや動画配信サイトで放送・配信されている。大会の視聴者数は、動画配信サイト(TwitchやYouTube Gaming)の影響で右肩上がりで増加している [5]。Juniper Researchは、eスポーツのオンライン視聴者数が2015年には1億3,300万、2020年に3億1,000万になり、F1レースの視聴者数(4億)に迫ると予測している。また、eスポーツのオンライン配信チャンネルの加入料金だけで、2020年に10億ドルに達すると予測している[6]。

視聴者数や大会数の増加と並行して、賞金総額も年々増加しており、2015年の世界中の大会の賞金総額は6,538万ドルだった(図1)。賞金額第1位の大会は「DotA2」のトーナメント「The Internatinal 2015」で、賞金額は1,845万ドルであった。

図1 eスポーツ大会の回数と世界での賞金総額の推移

(単位:大会回数(左軸)、賞金総額/万$(右軸))

出所:e-sports earningsのデータを基に集計[7]

 

4 日本の動向

欧米や中韓に比べ、日本でのeスポーツのプロフェッショナル化は遅れていたが、2010年代に入るとようやくその動きが現れ始めた。広告代理店SANKOは、2011年に市川に日本初のeスポーツ専用施設を、また2014年に秋葉原にeスポーツ専用アリーナを設立した他、同年から「League of Legends」の日本リーグを開催している。また、ゲームプレイのチームDetonatioNは2015年2月に日本初のプロチームを結成し、選手・コーチに毎月の給与を支払い、専用練習・共同生活施設(ゲーミングハウス)・オフィスを提供している。

さらに2015年から2016年にかけて、eスポーツの国内普及等を目的とする「日本eスポーツ協会(JeSPA)」「e-sports促進機構」「日本プロeスポーツ連盟(JPeF)」(いずれも一般社団法人)が相次いで設立されている。また2016年4月には、東京アニメ・声優専門学校が国内初のプロゲーマー育成コースを開始した。日本でもeスポーツのプロフェッショナル化がさらに進展していくと考えられる。

 


[1] たとえば、インテル、シスコ、デル、ソニー、NVIDIA、SKテレコム、コカ・コーラ、日産など。

[2] 賞金以外の収入には、選手やチームが開発にかかわったオリジナルブランド商品(PCやマウスなど)の売上からのロイヤリティ収入や、自身のゲームプレイを動画配信した際の広告収入などがある。

[3] 「韓国のe-sportsはすごいことになっていた」(http://d.hatena.ne.jp/kanose/20060321/esports)。

[4] 「Counter- Strike」「Call of Duty」(FPS)、「StarCraft」(RTS)、「Super Smash Bros.」「Super Street Fighter IV」(Fighting Game)などが各ジャンルの主なタイトルである。

[5] 「Meet the professor of eSports: TL Taylorinterview」(http://www.redbull.com/en/esports/stories/1331677470159 /meet-the-professor-of-esports-tl-taylor-interview)。

[6] 「Online eSports Hits Mass Market as Audiences Expected to Exceed 310m by 2020」(http://www.juniperresearch.com/press/press-releases/online- esports-hits-mass-market-as-audiences-grow)。

[7] http://www.esportsearnings.com/history

 

【ゲーム関連市場レポート】———————————————

世界のオンラインゲーム市場 2016-2020年

Global Online Gaming Market 2016-2020

価格 US$ 2,500 | TechNavio | 2016年5月

http://www.dri.co.jp/auto/report/technavio/irtntr9426.html

 

世界のゲーム向け拡張現実市場 2016-2020年

Global Augmented Reality in Gaming Market 2016-2020

価格 US$ 2,500 | TechNavio | 2016年4月

http://www.dri.co.jp/auto/report/technavio/irtntr8913.html

 

デジタルゲーム:eスポーツ 2015-2020年

Digital Games: eSports

価格 ₤ 1,990 | Juniper Research | 2015年11月

http://www.dri.co.jp/auto/report/juniper/junesports.html

 

世界のデジタルゲーム市場:モバイル&タブレット、PC、コンソール&ハンドヘルド、クラウド&VR  2015-2020年

Worldwide Digital Games Market

価格 ₤ 3,790 | Juniper Research | 2015年10月

http://www.dri.co.jp/auto/report/juniper/junmobilegame.html

 

世界のeスポーツ (エレクトロニックスポーツ) 市場 2015-2019年

Global eSports Market 2015-2019

価格 US$ 2,500 | テクナビオ ─ 2015年以前出版レポート | 2015年1月

http://www.dri.co.jp/auto/report/infiniti/irtntr7431.html

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