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好調なDisney+が与える影響
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.189)
2020年2月27日号

 11月に開始したDisney+は最初の24時間で1000万人の加入があり、12月末では加入者は2860万人に達している。Disneyには強力なコンテンツ力、それにブランド力があり、順調な出だしは予想されていたが、それを大きく上回るスタートである。

 NetflixはQ3の時点では、Disney+等の大手コンテンツ事業者によるSVODサービスへの参入からの影響は大したこと無いと言っていた。しかし、2019年Q4末でのNetflixのアメリカとカナダでの加入者増加数は54.8万人増えただけで、前年同期増加数の166万世帯の3分の1にしか達しなかった。Netflixのアメリカ/カナダの加入者数は6766万人で、1位ではあるが、たったの2ヶ月間で40%にまでに追い上げたDisney+に脅威を感じていないはずは無い。

 多くのSVOD利用者は複数のサービスに加入しており、Disney+の加入者が増えてもNetflixからの脱退がするとは限らないが、影響は確実に出る。PiplsayがDisney+加入者に対して行った調査では36%がNetflix、Amazon Prime Video等のSVODサービスの最低1つはキャンセルしたと答えている。脱退は一時的なことで、新しいサービスで満足が出来なければ戻ってくる可能性もある。しかし、Piplsayの調査では、23%はDisney+はNetflix以上だと答え、49%は同等だと答えており、Disney+への評価も高い。

 Disney+の驚異的なスタートは、これからストリーミングでの直接配信を始める他の大手コンテンツ事業者にも大きな影響を与える。AT&T/WarnerMediaのHBO Max、それにComcast/NBCUniversalのPeacockが4月にスタートするが、Disney+の数値で評価される事になり、手抜きは出来ない。さらに、直接配信を始めて2カ月間で世帯の20%のリーチを得られたDisneyを見て、ストリーミングへの力の入れ方も増す。

 WarnerMediaはすでに番組制作をストリーミング中心にシフトしている。2018年のQ4では同社の番組制作費の90%はケーブルTVネットワーク向けであったのが、2019年のQ4ではそれが25%に減り、ストリーミング向けのコンテンツが7%から73%へと10倍増えている。ドル箱であったHBOチャンネル向けのSci-Fiとファンタジー系番組は4本しか制作開始にならなかったのに対し、HBO Max向けには12本の制作が決まっている。

 多チャンネルサービスへの加入者は減少している。衰退しているメディアに金を使う必要は無く、さらに直接配信により放送事業者と収入をシェアする必要が無ければ、収益も増える。コンテンツ事業者のストリーミングでの直接配信への注力は多チャンネルサービスの衰退を加速させる事になる。Disneyにとっても、Disney+の成功は予想以上であり、Disney+だけでなく、HuluとESPN+への投資も増やしていく。当然、多チャンネルサービス向けのコンテンツの数と質は落ちて行き、サービスを脱退する人は加速する。2012年では多チャンネルサービスに加入している世帯は総世帯の85%であったのが、2019年末ではすでに70%程度に落ちている。ストリーミング・プレーヤ会社のRokuは2024年で多チャンネルサービスへの加入率は50%を割ると予想している。




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