| 激化するストリーミング・プレーヤの競争 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.188) |
2020年1月17日号
OTTビデオコンテンツの質が良くなることで、コネクテッドTVを使った視聴が増えている。Convivaの統計では2019年Q3でのOTTビデオ再生時間では、56%はコネクテッドTVでの視聴で、さらに、コネクテッドTV視聴の78%はRoku、Fire TV、Apple TV、Google Chromecastの4つのストリーミング・プレーヤが占めている。
ストリーミング・プレーヤでの視聴が増えれば、広告収入が生まれてくる。3230万人のアクティブ・ユーザを持ち、アメリカで最大のストリーミング・プレーヤのRokuは広告配信のサービスを提供し、さらに自社でもAVODサービスを行っている。同社のQ3の売上は$2.6億で、その70%は広告等のプラットフォームからの収入になっている。
Rokuは自社ブランドのストリーミング・プレーヤを販売するだけでなく、Roku機能をライセンスし、TCL等の12のブランドからRoku TVが発売され、そのシェアを伸ばしている。CESでは新たに15のブランドがRoku TVを発売する事が発表された。
Amazonは増えるRokuの広告収入に目をつけ、真っ向から戦いを挑んでいる。AmazonもFire TV機能をライセンスするFire TV Editionを2017年から始めているが、これに力を入れ、Fire TV Editionのブランドを増やし、さらに国際的にも提供していく。さらに、CESではブロードバンド事業者向が自社ブランドでFire TVを提供可能にするFire TV Edition for Operatorsに加え、自動車メーカー向けのFire TV Edition for Autoも発表した。Rokuも事業者向けにライセンスをしているが、車載エンターテイメントを狙うにはAmazonが最初になる。
AmazonのFire TVの利用者は4000万人で、Rokuより多い。しかし、Rokuは北米が主なので、アメリカでの利用者はFire TVより多い。AmazonはFire TV Editionによりアメリカ市場でもRokuを追い抜こうとしている。これに対して、Rokuも国際展開を始めており、イギリスでもRoku TVを発売し、欧州他国にも参入を始める予定である。
CESではTiVoもAndroid TVベースのストリーミング・プレーヤ、TiVo Steam 4Kを$50で発表した。TiVoもTVメーカー、それに事業者へのライセンスに力を入れる予定で、
RokuとAmazonの戦いに割り込む事になる。TiVo Stream 4Kは$50で、Roku、Fire TVと同等の値段である。TiVoはストリーミング・プレーヤを発表したでけでなく、AVODサービスのTiVo+も発表し、RokuのRoku Channel、AmazonのPrime VideoとIMDb TVにも対抗する。
TiVoの強みは、独自のメタデータを使ったコンテンツ発見であり、OTTサービスの数が増える中、コンテンツが探しやすいことを武器にRoku、Fire TV等と戦う。また、事業者向けへのライセンシングでは、TiVoはすでに、Mediacom等の多くの中小ケーブルTV事業者にSTB向けナビゲーションのライセンシングをしており、実績がある。オペレータとの関係があるTiVoはこれから事業者との関係を築こうとしているRokuとAmazonの強敵になるであろう。
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