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新興SVODは成功するか?
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.184)
2019年9月19日号

 SVOD市場の競争は急激に厳しくなっている。既存のNetflix、Amazon Prime、Hulu、HBO Now、CBS All Access等に加え、11月1日にはApple TV+が始まり、11月12日にはDisney+がスタートする。来年には有名プロデューサーであるカッツェンバーグのQuibiがスタートし、AT&T/WarnerMediaのHBO NowがHBO Maxとしてリローンチされ、さらにComcast/NBCUniversalのPeacockの開始が予定されている。

 OTTビデオ利用者は複数のサービスに加入しているので、成功するサービスは1つだけではないが、すべてのサービスに加入することもありえない。PC Magazine誌が行った調査では40%はSVODに月$20まで使うと答え、30%は$21から$30まで使うと答えている。平均値は$33であり、加入するSVODサービスは2つから3つと言うことになる。

 SVOD利用者の殆どはNetflixにすでに加入しており、そのライブラリーも多い事から最低でもしばらくはNetflixの利用者は減らないであろう。また、Amazon Prime加入者の殆どはSVOD機能だけで無く、その全体の価値を評価しており、SVODの出費としては考えていないであろう。という事は、Netflix、Amazonを別にして、1つ、あるいは2つのサービスへの加入となる。予算の内$13はNetflixに行くのであれば、残りの予算を他のSVODが分ける事になる。PC Magazineの調査が正しければ、それは$10である。

 Disney+のコンテンツ数はまだ多くないが、内容的には魅力がある。月額は$8で予算内である。Disneyはまた、$13でDisney+、Hulu、それにスポーツ専門のESPN+をバンドルする。$10を少し超える金額であるが、Netflixには無いスポーツコンテンツが加わることはインパクトがある。

 Apple TV+は$5と安く、十分に予算以内である。しかし、Disneyとは違い、Appleには過去のコンテンツ資産は無い。他社のコンテンツの独占契約もなく、オリジナルコンテンツでの勝負となり、ライブラリー構築には時間がかかる。しかし、Apple TV+はApple製品を買った人には1年間無料であり、1年後が勝負になる。

 月額$5のQuibiはモバイル端末向けのサービスで、1話が10分以下のショートビデオのサービスである。コネクテッドTVのサポートは無いようであり、モバイル端末でビデオを見ている人専用のサービスになる。モバイル端末利用者がビデオに料金を払うかは未知である。予算的にもSVODではなく、モバイル端末向けサービスとして判断されるかも知れない。

 Warner MediaのHBO Max、NBCUniversalのPeacockは共に親会社は多チャンネルを提供している。どちらもSVODだけで提供するのでは無く、多チャンネルサービス上でも提供される様である。TV世帯の75%を占める多チャンネルサービス加入者にとっては、これらは多チャンネルサービスの予算であり、SVODでは無いかも知れない。しかし、ビデオエンターテイメントへの出費としては一緒である。

 HBO Maxは多チャンネルサービスの有料チャンネルのHBO、SVODで提供されているHBO Nowと同じ$15で、それに他のWarnerMediaのコンテンツも含まれる。既存のHBO、あるいはHBO Now加入者には嬉しいが、$15は安くなく、新たな加入者を得るのは難しいであろう。ComcastのPeacockの内容はまだ発表されていないが、後発になると、戦いはさらに厳しくなる。




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