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Quibiは成功するか?
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.181)
2019年6月25日号

 OTTビデオにおける大きな話題はQuibiである。Quibiは2010年4月に開始予定のスマートフォン向けのSVODサービスである。Quibiが話題になっている理由は2つある。1つは創立者がDisneyで大成功し、その後DreamWorks SKGを設立したジェフリー・カッツェンバーグであり、CEOが元HPのCEOのメグ・ホイットマンである事だ。

 カッツェンバーグがファウンダーで、ホイットマンがCEOとなれば、ベンチャーキャピタルは殺到する。Disney、NBCUniversal、Sony、Viacom、Liberty Global、AT&TのWarnerMedia等から$10億近い投資を得ている。これが2つ目の理由であり、Quibiの初年度予算はコンテンツに$10億で、さらにマーケティングに$4.7億と贅沢な資源でOTTビデオ業界に参入をする。サービスはSVODであり、料金は広告付きで月額$5で、広告無しは$8になる。

 Quibiの名前はQuick Bitesから来ており、スマートフォンでちょっとした空き時間に見る為のサービスである。YouTubeの競合の様であるが、コンテンツが違う。アマチュアとセミプロが主体のYouTubeと違い、$10億の予算があるQuibiは著名なハリウッド監督を使う。すでにスティーヴン・スピルバーグ、ジェイソン・ブラム等が契約している。コンセプトは1エピソードが7~10分程度の短編で構成されるシリーズ物の配信である。1回で完結のショートビデオではなく、シリーズ物を週に1話、配信する。

 スピルバーグ監督のシリーズはホラー物の「Spielberg After Dark」でその名の通りに、スマートフォンの時間機能を使い、暗くなってからしか視聴することが出来ない等、コンテンツの話題性も高い。だが、Quibiは成功するであろうか?

 YouTubeはこれまでに様々な形態で有料化を試したきたが、成功には至っていない。しかし、それだけでショートビデオのSVODが駄目とは言えない。予算が違う。Googleはこれまでに$5億程を有料化のコンテンツに使っているが、Quibiは1年で$10億を使い、初年には7000タイトルのハイクオリティのコンテンツを配信するので、YouTubeとは一緒に出来ない。

 コンテンツとして競合するのはNetflix等のSVODサービスであるが、Netflixとの競合はないであろう。Netflixは地位を築いており、ショートコンテンツのQuibiをリプレースにする人はいないであろう。競合が出来るとすれば、シリーズ全話を一気に配信する事でビンジ・ウォッチングを勧めるNetflixに対し、週に1本ベースのQuibiの視聴スタイルである。

 競合はSVODサービスで2番手以下のAmazon、Hulu、Disney+、WarnerMedia(HBO Now)等になる。サービスのコンセプトはそれぞれ違うが、2つ目以降のSVODサービスとしてエンターテインメント予算を争う事になる。問題はQuibiはスマートフォン向けであり、ストリーミング・プレーヤ、スマートTV等のコネクテッドTVのサポートを重視していない事である。オンラインビデオの再生時間の半分以上はコネクテッドTVである。贅沢な予算を使ったコンテンツを見るのであれば、より良いディスプレイで見たくなる。コネクテッドTVのサポートが無いことが本当であれば、それがQuibiの最大の課題かも知れない。




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