世界各国のリアルタイムなデータ・インテリジェンスで皆様をお手伝い

会員登録

マイページ


DRI テレコムウォッチャー  from USA


このシリーズは、毎月1回掲載!!

      NSI Research社の デジタル放送とブロードバンドTVの情報サービス      
  年間情報サービス「The Compass」 と 「The Compass」年鑑レポート
 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダを対象としています。


新Foxは何を狙っているのか
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.180)
2019年5月23日号

 Disneyはすでに豊富なコンテンツを持っているが、さらに21st Century Foxの映画、FX、National Geographic等の多チャンネルネットワークを買収する事でNetflixに競合するSVOD勢力になろうとしている。半分になったFoxはFox Corporationとして、再スタートしたが、その戦略は何であろうか。SVODが話題の中、コンテンツ資産の半分を売るのは逆行に見えるが、Foxの意図は何か。

 新Foxに残されているのは地上波ネットワークのFox、28の地上波放送局、それにニュースとスポーツ系の多チャンネルネットワークのFox News、FSN等である。手元に残したのはライブ性の高い事業であり、Foxはこれを「Power of Now」と呼んでいる。あえて、映画等の脚本のあるコンテンツを手放し、シナジー効果の高いライブ系の資産に注力する事で、全体の価値を高める考えである。

 Foxはライブに特化したコンテンツにより再送信料、それに広告料の増加を狙っている。Fox Newsはアメリカで最も視聴者の多い多チャンネルネットワークである。スポーツ専門のFSNもDisneyのESPNには及ばないが、NFL、MLB、大学フットボール、WWE等との契約があり、成功をしている。Foxは多チャンネルネットワークが必要とする地上のFoxを含めたライブ性の高いコンテンツを提供する事で多チャンネル事業者との再送信料が値上げ可能と考えている。新しいFoxでは再送信収入と広告収入が半分づつになる。広告もライブ重視であり、広告収入の70%はニュース、スポーツ等のライブコンテンツから来る事になり、ドラマ、リアリティ番組等のコンテンツは30%に減るとも予測している。

 昨年、Foxは地上波局会社のSinclairのTribune買収により、放出する7局を購入する予定であった。SinclairのTribune買収は流れたので、Foxが持つ放送局数は増えなかった。しかし、Disney(ABC)、Comcast(NBC)、CBS共に地上波からSVODに行こうとしているのとは異なり、Foxは地上波放送にまだ関心がある。ライブ性の高いコンテンツに力を入れるのであれば、地上波には価値がある。

 しかし、再送信料も広告料も既存の収入源であり、増えても大きな成長にはならない。さらに、「Power of Now」の戦略があるはずだ。映画/ドラマのSVODはしないが、スポーツ、あるいはニュースコンテンツのOTT化は可能で、すでにFox Nationと呼ばれるOTTでの有料のニュース専門チャンネルを提供している。だが、OTTでの収入が増える分、既存の多チャンネルサービスからの収入は減るので、増収にはならない。

 ライブ性の高いコンテンツとして、ギャンブルもある。Foxはオンラインでのスポーツ賭博のBetStarsを提供しているStars Groupに$2.36億を投資し、その4.9%を得た。そして、共同でFox Betsを開始する。Fox Betは今年の秋までにFox Sportsのアプリ内で賭け金なしで、賞金(賞品)を提供するゲームを開始しする。その後、スポーツ賭博が許可されている州で本当の賭博を開始する予定である。現在、スポーツ賭博が合法な州は7つしか無いが、多くの州が合法化を進めるか、検討をしている。Foxの新しい狙いは賭博かも知れない。




「from USA」 のバックナンバーはこちらです。



DRIレポートリスト

最新市場調査
レポートリスト

DRIメルマガは無料にてご登録いただけます。

 

ページTOPに戻る