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Netflixに挑戦するDisney+
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.179)
2019年4月26日号

 11月12日に開始するDisneyのSVODサービス、Disney+はNetflixに対する大きな挑戦者として注目を集めている。Disney+への期待が高い理由の1つはそのブランドである。コンテンツ会社として最大級のブランド力があり、それに伴うコンテンツ制作の力もある。

 しかし、それだけではNetflixのチャレンジャーにはなれない。SVODではNetflixは10年以上の経験があり、Disneyはそれに急速に追いつかなければならない。DisneyにはSVODの経験は無いが、Netflixのことは詳しく知っている。DisneyとNetflixは一時はパートナーであり、映画の独占配信契約に加え、Netflix向けのオリジナルコンテンツも作っていた事も、Disney+への期待が高い理由である。

 Disney+は広告無しで、月額$6.99で提供される。Netflixの価格は5月から$10.99から$12.99に値上がったので、約半分の価格である。しかし、コンテンツは少ない。Disney+は7,500のテレビ番組、500の映画でサービスを開始する。Netflixは映画だけでも4.000本ある。Disney+のコンテンツとしては、Disney Channelの番組、Foxから得たNational Geographicの番組、Disneyの映画等に加え、Disney Studio、Pixar、Lucas Film、Marvel、National Geographicのオリジナルコンテンツが含まれる。Disney+は海外でも展開され、加入者は2024年には世界的に4000万から6000万人に達し、その内の2000万から3000万人はアメリカの加入者になるとDisneyは予測している。

 Disney+にはABC、それにFoxの買収で得た20th Century Foxの映画、FXネットワークの番組は含まれない。これらのコンテンツはHuluで配信されることになる。DisneyはFoxの資産買収によりHuluの60%を持ち、Comcastが30%を持っている。AT&TはWarnerMedia買収でHuluの9.5%を得たが、4月に$14.3億で株をHuluに売った。

 DisneyはDisney+、Hulu、それに昨年に開始したスポーツ専門のオンデマンド・サービスのESPN+をまとめて販売する事を考えている。しかし、Huluの30%を持つComcastはHuluをDisneyのサービスに加えることに反対する可能性があり、足枷になる。DisneyはComcastからHuluの株を買い取りたいであろうが、それも問題がある。

 AT&TはWarnerMediaのコンテンツを使ったSVODを計画しており、今後はHuluへのコンテンツ配給は減らしていく。ComcastもHuluの株を売れば、NBCUniversalのコンテンツの提供を減らすであろう。さらに、Huluが完全にDisneyのものとなれば、他のコンテンツ事業者もHuluへの配信に躊躇し始めるであろう。DisneyはHuluの100%を得る代償として大幅にコンテンツを失うリスクがある。ABC、Foxの映画、FXだけではHuluは加入者を失っていく。

 ComcastがHuluの株を持っている事も問題だが、ComcastがHuluから去ることも問題である。Disney+は強いブランドがあり、成功する可能性は高い。だが、Huluに問題が起きると、Disney+もその混乱に巻き込まれ、Netflixへの挑戦は危うくなる。




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