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Comcastのコードカッター向けのサービス
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.178)
2019年3月25日号

 ComcastはXfinity Flexと呼ばれるコードカッター(多チャンネルサービス非加入者)向けのサービスを開始する。このサービスはvMVPD(Virtual Multichannel Video Programmer) とも呼ばれるSling TV、DirecTV Now等のOTTベースでの多チャンネルサービスとは違う。

 Xfinity FlexにはDiscovery、CNN、ESPN等の多チャンネルサービスのチャンネルはない。提供されているのはAVOD(広告付きVOD)のTubi、CBS News等のOTTでリニア配信されているチャンネルをアグリゲートしているXumo等である。ESPNがあるが、多チャンネルサービスのESPNではなく、OTT向けのESPN3である。加入していれば有料サービスのNetflix、Amazon Prime Video、HBO Now等もXfinity Flexで見ることが出来る。

 Xfinity Flexを利用するにはComcastのインターネットサービスへの加入が必要であり、利用可能なWiFiゲートウェイもComcastの製品に限られる。さらに月額$5で専用のストリーミング・プレーヤを借りる必要がある。OTTビデオサービスはどのインターネットサービスでも良く、さらに様々なデバイスで視聴出来る事が特徴である。Xfinity FlexはOTTビデオを視聴出来るが、サービス自体はOTTではない。

 Comcastの回線と専用のストリーミング・プレーヤが必要になる理由は、実はXfinity FlexはQAMチューナを取り除いたケーブルTV向けのX1 STBだからである。Xfinity Flexのストリーミング・プレーヤはX1と同じに音声検索が出来、Pandora等のX1で利用出来るのと同じインターネットサービスが利用出来る。Xfinity Flexのストリーミング・プレーヤは4Kにも対応しており、ケーブルTVのX1で出来て、Xfinity Flexで出来ないことはQAMで放送されているチャンネルの視聴とその録画/再生である。

 ComcastはX1のプラットフォームを使い、スマートホームのサービスを提供しているだけでなく、映画のデジタル購入、Netflix等への加入、チケット等の購入等、新たなマネタイズの方法を加えている。だが、これらサービスを利用出来るケーブルTV加入世帯数は縮小している。Comcastのブロードバンドだけに加入している世帯にもこれらサービスを利用可能にする必要がある。

 Comcastはそのブロードバンド加入者にXfinity Flexを使ってもらえれば、マネタイズの方法を加える事が出来る。さらに、もしも多チャンネルサービスに関心を持って貰えれば、ブロードバンドでケーブルTVの提供も出来る。Comcastはすでに地上波を含むTVチャンネルを自社のブロードバンド上で提供しており、Xfinity Flexでもこれを視聴可能にすることが出来る。

 Xfinity FlexはComcastにとっては、アップセルが可能になる申し分のないプラットフォームである。しかし、利用者にとってはどうであろうか。Tubi、XumoはXfinity Flex無しでも無料で見られる。ESPN3もComcast以外のブロードバンドでも提供されている。FireTV Stickであれば$40(4K対応であれは$50)で購入出来、毎月の支払いはなく、利用可能なOTTサービスも圧倒的に多い。X1は音声検索で有名だが、FireTVでも音声検索が出来るだけでなく、Alexaの機能も使える。コンシューマに取り、月額$5払い、Xfinity Flexを使う理由は見当たらない。




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