| 減少するスーパーボウル視聴者 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.177) |
2019年2月16日号
スーパーボウルの視聴者が今年も減った。試合が低得点であったことも影響しているかも知れないが、パブリックビューイングを含めた平均視聴者(1分毎の視聴者数の平均)は1.127億人で、昨年の1.182億人から4.9%もの減少をした。スーパーボウルの放送権はFox、NBC、CBSが持ち、順番に放送しており、今年はCBSの番であった。
視聴者数はNBCの番であった、2015年をピークに減少をしている。パブリックビューイングを除いた視聴者は2015年は1.144億人であったのが、今年は1.007億人に落ちている。昨年は1.034億人であったので、それから2.6%の減少である。この視聴者数には放送だけでなく、OTTでの視聴も含まれている。OTTを除いた放送(地上波とケーブルTV等の多チャンネルサービス)での視聴者数は9820万人で、昨年から3.3%減っている。
OTTでの配信は、CBSのCBS SportsとCBS All Accessに加え、NFL、Yahoo Sports、それにSling TV等のOTTベースの多チャンネルサービスで行われた。平均視聴者数は260万人で、昨年から31%増えた。OTT視聴に使われたデバイス数は750万台で、合計ストリーミング時間は5.6億時間であった。
視聴者が減っているとは言え、スーパーボウルは最も視聴率が高い番組であり、広告料は高価である。今年の広告料は30秒で$525万と推定され、昨年の$520万から増えている。広告調査会社のSQADによると最も高価な枠は$552.6万で売れた。最も広告料を使った会社はBudweiserビールのAnheuser-Buschで、合計5分45秒の枠を買い、8つの広告を流した。2位はNFLで、2分30秒、3位はトヨタ、Google、T-Mobileの3社がタイで、それぞれ2分の広告を流した。
視聴者の減少と共に、ここ1、2年でスーパーボウルの広告に変化が出ている。1つはネットワーク自体のプロモーションが増えている事である。今年はCBS自体のプロモーションが9分55秒で、Anheuser-Buschの倍近くあった。昨年はNBCが9分40秒を自社のプロモーションに使った。2017年(Fox)の番組宣伝は7分30秒、2016年(CBS)は8分20秒、2015年(NBC)は6分5秒であったので、ここ2年で30%程度も番組宣伝が増えている。SVOD等に視聴者を奪われ、番組をプロモーションする必要性が増えている。しかし、ネットワークから視聴者を奪っているNetflix、Huluもスーパーボウルで広告をしており、ネットワークが広告を独占出来ない。
もう1つの動きは、NFL自体の広告時間も増えている事である。NFLは公共広告を含めると、今年は2分45秒をプロモーションに使った。2017年と2018年は2分、2015年と2016年は1分30秒であったので、3年前からでは2倍近く増えている。テレビ視聴者が減ることで、NFLの試合の視聴者も減っており、ファンを増やす必要があるのだが、それを自分の試合の放送で行うのは何か変である。
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