| Netflixの値上げとその影響 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.176) |
2019年1月23日号
Netflixはアメリカでの料金を値上げした。SD画質のベーシック・プランは$7.99から$8.99になり、HD画質、2ストリームのスタンダート・プラン、それにUHD画質、4ストリームのデラックス・プランは共に2ドル値上がり、それぞれ$12.99、$15.99になる。値上げ率はそれぞれ、12.5%、18.2%、それに14.3%である。加入者が増えずとも、売上は15%程度増える訳だが、値上げにより脱退も増える。チャーンが大きければ、売上が減るリスクもある。
値上げはどの程度の影響をもたらすのであろうか。いくつかの会社が調査を行っている。Streaming Observerが607人を対象に行った調査によると、3%は絶対にサービスをキャンセルすると答え、24%がキャンセルをする可能性があると答えている。10%はキャンセルはしないが、プランをダウングレードすると答えている。もし、キャンセルする可能性があると答えた人の半分が実際に脱退すると、15%の加入者を失う事になる。
The Diffusion Group(TDG)は2018年12月に発表した「Quantum Viewing Behavior」レポートで、$1、$3、それに$5の値上げがあった場合のインパクトを1940人に聞いている。$1の値上げではキャンセル、あるいはキャンセルする可能性が共に8%ずつある。値上げが$3であった場合は、キャンセル者は2倍、そしてキャンセルする可能性は3倍近くに増える。$5では38%がサービスをキャンセルする。この調査では$3以上の値上げは難しく、Netflixの値上げは可能な範囲となる。
Hull Entertainment Researchはより調査な調査をしている。同社の調査ではNetflixの値上げ発表の2日後には加入者の70%が値上げ発表を聞いており、値上げに対して8%は「怒り」、38%は「いらだち」を感じている。38%は「仕方ない」と思い、15%は値上げはより多くの良いコンテンツが提供されるのであれば良く、ポジティブに感じている。同社の調査ではキャンセルをする人は9%、ダウングレードは16%で、69%はそのままとなっている。他の調査では聞いていない項目としてアップグレードがあり、6%はアップグレードすると答えている。Netflixが好きであれば、値上げ時にアップグレードすることもオプションである。
ベーシック・プランの加入者では継続率76%で、他のプランより高く、アップグレード率も12%である。しかし、スタンダートプラン加入者間では8%がキャンセルし、24%がダウングレードすると答え、デラックスプランではそれぞれ10%と27%になっている。より高価なプランの加入者ほど値上げに不満がある。
これら調査の結論として、値上げによりNetflixは10%程度の加入者を失い、さらにその倍以上がダウングレードする可能性がある。しかし、これは一時的な事であろう。過去の値上げでは、短期的にチャーンが増えるが、数ヶ月で回復している。値上げに怒り、キャンセルをするが、結局は話題作が公開されれば再加入する。今回も同様であろう。Netflixは収益は2018年Q4の$1.34億から2019年Q1には$2.53億に増えると予測している。
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