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AppleのOTTビデオ戦略
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.173)
2018年10月25日号

 Appleは音楽配信では大成功をしたが、OTTビデオではNetflix、Amazon等に遅れを取っている。AppleはiTunesで電子媒体でのビデオレンタル(TVOD)を行っているが、2位である。TiVoの2017年Q4のOnline Video and Pay-TV Trend ReportによるとAmazon Instant Videoの利用者17.9%であるのに対して、iTunesのTVODは7.9%であり、3位のGoogle Play(7.2%)に追い上げられている。ストリーミングプレーヤのApple TVは一時はRokuとトップ争いをしていたが、AmazonのFire TVに追い越され、GoogleのChromecastと3位を争っている。

 AppleのOTTビデオの問題は専門のサービスが存在しないことで、TVODはiTunesで行われている。オリジナルビデオ番組の制作をしているが、配信は音楽サービスのApple Musicで行われている。Apple TVがあるが、Apple独自のビデオサービスは無い。AmazonのFire TVでの主役アプリはAmazon Prime Videoであるが、Appleには同様なOTTビデオサービスがない。

 AppleはSVODを検討していたが、Netflix、Amazon、Hulu、HBO Now等に追い付くのは困難になっている。新たにNetflixに対抗をしようとしているDisneyには豊富なライブラリーがあり、さらにFoxのコンテンツも買収しているが、Appleにはコンテンツ資産は無い。他社のコンテンツのライセンスでは差別化は出来ない。Appleはオリジナルコンテンツを作り始めており、今年は$10億以上を投資する。しかし、Netflixは2013年からオリジナルを作り始めており、今年の予算は$130億である。簡単に追い付く距離ではない。

 AppleはSVODでNetflix等に対抗するのではなく、AmazonのPrime Video Channelsに競合する方向に動いている。AmazonはPrime Video会員に対してHBO Now、CBS All Access等の100以上のSVODサービスに加入可能にし、コミッションを得ている。同様にAppleのiPhone、iPad、Apple TVにはTVアプリがあり、個別のアプリを立ち上げることなく、100以上のOTTサービスのビデオを検索、視聴可能にしている。

 しかし、TVアプリの利用者は少なく、収入にはなっていない。AppleはTVアプリの利用を増やすためにそのオリジナルコンテンツを無料でTVアプリで提供する事を検討している。TVアプリの利用者が増えれば、TVアプリ内からHBO Now等のSVODサービスに加入も増え、コミッション収入が増加する。

 AppleはTVアプリ内で有料のSVODのSVODも立ち上げるが、Appleのオリジナルコンテンツは無料で配信される予定である。有料であるPrime Videoとの違いであるが、Amazonも広告付きの無料版のPrime Videoを予定している。AppleがOTTビデオサービスを開始するのは2019年初めの予定だが、それまでにはAmazonもそのオリジナルコンテンツを無料で配信し始めているかも知れない。


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