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TVOD市場の縮小とWalmartのSVOD参入
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.171)
2018年8月22日号

 ビデオ・エンターテイメント市場はSVODの登場で大きな変化をした。ビデオレンタルの跡継ぎとして期待されたトランザクション型のVOD(TVOD)もSVODに押され、売上が減少しており、VuduでTVODを行ってきた量販大手のWalmartもSVODに参入する。

 ビデオ業界のこれまでの基本的な変化は、ディスク等の物理的媒体からデジタル媒体(オンライン)への移行である。Digital Entertainment Group(DEG)によると、2011年では物理的媒体総売上(販売とレンタル)で市場の77.8%を占めていた。それが、2015年には50.3%となり、デジタル媒体の49.7%と並び、2018年6月時点では、デジタルが74.4%と逆転している。

 しかし、媒体がディスクからデジタルに変わっただけでは無い。媒体の変化と同時に視聴方法も変化してきた。2011年ではビデオ市場では物理媒体での販売が最も大きく、市場全体の50%を占めていた。それが2015年では33.7%に落ちている。しかし、ディスクでの販売がデジタル媒体にシェアを奪われたのではない。デジタルを含めたビデオの販売は2011年では53.2%であったのが、2015年には44.2%に減り、2018年6月では27.7%まで落ちている。ディスクがデジタルに市場を奪われたのではなく、ビデオコンテンツの購入自体が減ってきた訳だ。

 レンタルも同様である。物理媒体でのレンタルは2011年では27.9%のシェアがあったのが、2015年には16.7%に減り、現在では8.7%まで減っている。しかし、デジタル媒体でのレンタルであるTVODを含めたレンタル全体でのシェアも2015年の27.6%から17.8%に落ちている。増え続けているのはSVODである。そのシェアは2011年の8.9%から増え続け、2018年6月では54.5%と半分以上のシェアを持っている。TVODは2013年にが11.6%に達するが、その後は横ばいから減少に転じ、現在では9.5%まで下がっている。

 TVOD市場の大手事業者はComcast等の多チャンネルサービス事業者、Amazon、Apple、Google、それにWalmartのVudu等である。シェアとしてはAmazonがトップだが、TVOD市場が縮小してもSVODのPrime Videoが成長しており、大きなインパクトはない。TVODが成功しなかった事で大きな影響を受けたのはWalmartである。同社はディスク販売ではアメリカ最大であったのが、Amazonにシェアを奪われ、さらにディスク販売自体が減少、市場自体が消えた。Walmartはこれを予期し、2010年にVuduを買収していたが、TVOD事業自体が成功しなかった。

 WalmartはAmazonを最大の競合と見ている。Amazonが成功するのを無視する事は出来ない。Walmartは年内にSVODサービスを開始する計画を進めている。サービスの詳細は発表されていないが、Prime Videoに対抗するのであれば、それなりの規模のサービスにしなければならない。Walmartは自社のITサプライヤーにAmazonのクラウドサービス(AWS)を使わせなくするために、MicrosoftのAzureを優先的なクラウドサービスに指定し、さらにMicrosoftのAI、IoT技術を採用するアライアンス契約もした。WalmartのSVODサービスにも当然、Microsoftが技術面で関わると思われるので、WalmartとMicrosoftの連合対Amazonの戦いになる。




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