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FoxとSkyを巡るDisneyとComcastの争い
 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.169)
2018年6月20日号

 AT&TによるTime Warnerの買収が許可された。司法省はアメリカ最大の多チャンネルサービスのDirecTVを持つAT&Tが、HBO、CNN、Turner等の多チャンネルサービス向けネットワークを持つTime Warnerを買収することは反トラスト法に触れるとして阻止をしようとしていた。しかし、ワシントンDCの連邦地裁は司法省を覆し、無条件での合併を認めた。これにより、メディア業界の再編成が加速化している。

 もう1つの大型統合にDisneyによるFoxとSkyの買収がある。DisneyはNetflixとの独占契約を終了させ、2019年にNetflixに競合するSVODサービスをスタートさせる予定である。その成功のためにはより多くのコンテンツが必要となり、21st Century Foxの映画事業と多チャンネルサービス向けネットワークのFX等を買収しようとしている。Foxは欧州のメディア事業者のSkyの39%も持っている。先にFoxがSkyの残り株を取得することで、DisneyはSkyも手に収め、欧州参入への足がかりにするつもりである。

 しかし、Foxの資産を狙っているのはDisneyだけではない。今年中にNBCUniversal買収時の司法条件から解かれ、自由に立ち回ることが可能になるComcastもFoxとSkyを欲している。NBCUniversal、それに2016年に買収したDreamWorks加え、Foxも手に入れれば、Comcastはコンテンツ業界の大手になる。しかし、司法省がAT&TのTime Warner買収を阻止すれば、ComcastのFox買収も不可能であり、Comcastは様子を伺っていた。Comcastはまず。SkyをDisneyから奪うために、4月に$295億ドルをオファーした。FoxはSkyの61%に対して$157億を支払う予定であるので、Comcastのオファーは15%上である。

 そして、AT&Tが勝訴したことでComcastはFox買収にも動き始め、司法決定直後に$650億を提示した。DisneyはFoxの資産を$524億で得るオファーをしているので、Comcastの買値は19%近くも高い。さらに、Disneyのオファーは株であるのに対して、Comcastは現金である。しかし、Disneyも新たな提示を検討しており、Foxがどちらを選ぶかは分からない。

 だが、この結果により、さらに新たな買収劇が始まることは確実である。Foxを逃した方は新たな買収先を探すことになるであろう。考えられるのはViacom、Discovery、AMC Networks、Lionsgate、MGM、それにSony Pictures等である。ViacomはCBSとの再合併の話があるが、どちらが主体であるかで揉めており、交渉は決裂する可能性がある。

 さらに、これらコンテンツ会社の買収にはVerizonが競合として登場するかも知れない。Verizonはコンテンツ事業としてAOLとYahooを買収しているが、AT&TがTime Warnerを得たことで大きな差を付けられている。AT&Tに対抗し、コンテンツ事業を強化するのであれば、狙う先はこれらコンテンツ事業者になる。


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