世界各国のリアルタイムなデータ・インテリジェンスで皆様をお手伝い

会員登録

マイページ


DRI テレコムウォッチャー  from USA


このシリーズは、毎月1回掲載!!

      NSI Research社の デジタル放送とブロードバンドTVの情報サービス      
  年間情報サービス「The Compass」 と 「The Compass」年鑑レポート
 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダを対象としています。


熾烈化するAmazonとGoogle の戦い (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.164)
2018年1月22日号

 AmazonとGoogleとの間には大きな競合は無かった。Amazonの最大の収入源は小売で、Googleは広告とテクノロジーのライセンスであり、クラウド事業以外では競合する部分は少なかった。しかし状況は変わり、2社の関係は急速に悪化している。

 2015年にAmazonはFire TV、そしてGoogleはChromecastを発売し、最初の衝突をした。Amazonにとり、Fire TVはPrime Videoの利用を増やすための戦略的な製品であり、Prime Videoをサポートしないストリーミング・プレーヤはそれを脅かす製品になる。AmazonはApple TVとChromecastをAmazonで取り扱い中止にする。

 電子ショッピングでは圧倒的なシェアのあるAmazonで売れなくなる事の影響は些細ではない。ストリーミングプレーヤのシェアは、RokuとFire TVがそれぞれ1位と2位で、Amazonで売っていないApple TVとChromecastは3位をシェアしている。Appleは折れ、2017年末にPrime Videoのアプリを利用可能にし、AmazonもApple TVの取り扱いを再度開始した。これに対して、GoogleはChromecastがPrime Videoをサポートしていないのはアプリを対応させないAmazon側の問題であり、Googleの責任では無いとし、Amazonの挑発を無視してきた。

 AmazonはGoogleへのプレッシャーを高めるためにGoogle Homeの販売も拒否し、さらにはGoogleのスマートホーム製品のNestの一部も取り扱いを止めた。この挑戦に対してGoogleはFire TVでYouTubeを視聴不可能にする事を発表した。YouTubeが視聴不可能になる事は大きな問題であり、Amazonは一旦、Chromecastの販売を再開する姿勢を見せた。しかし、AmazonはFire TVのSilkとFirefoxブラウザーからYouTubeを利用可能にし、難を逃れた。これに怒ったGoogleはFire TVからYouTubeを切る日を早めた。当然、AmazonはChromecastの再販をしていない。

 2社の争いは2018年CESでも明らかであった。昨年はスマートホームのコントロールとしてAlexaの独占であったが、今年はGoogleがブースを持つだけでなく、Google Assistantをサポーするパートナー会社にも「Hey Google」のサインを展示させ、Alexaの地位を小さくした。実際にはAmazonがスマートスピーカ市場の70%を持っているが、CESの会場においては、GoogleはAmazonを追い抜いたような印象を与える事に成功した。サードパーティー製品との連携が重要なスマートスピーカ市場でのポジション争いは、Fire TV対Chromecastの戦いより熾烈になる事は確実である。

 2社の競合はさらに熾烈になる可能性がある。Amazonは新しい収入源として広告に狙いを付けており、Amazon.com、Fire TVのホーム画面、Fireタブレットのロック画面等に自社のサービスと製品以外の広告も挿入し始め、Googleのテリトリーを侵しはじめている。広告収入をさらに増やすためにAmazonは無料のストリーミング・ビデオのサービスを検討している。以前から広告ベースのOTTビデオのサービスは検討されており、コンテンツ事業者との交渉もして来たが、12月5日にAmazonはオンラインでビデオ配信を行うサービスとして「Amazon Tube」と「Open Tube」の2つの商標登録を申請した。完全にYouTubeを意識した名称であり、もしも本当にAmazonがYouTubeに競合するサービスを始めれば、大きな戦争になるであろう。


「from USA」 のバックナンバーはこちらです。



DRIレポートリスト

最新市場調査
レポートリスト

DRIメルマガは無料にてご登録いただけます。

 

ページTOPに戻る