| 加速するBinge Watching (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.161) |
2017年10月20日号
Netflixがもたらしたテレビ視聴の変化の1つにBinge Watchingがある。Netflixはこれまでのテレビ放送のように1週間に1話の配信ではなく、全話をまとめて公開する。これにより一気に複数のエピソードを見る事が可能になり、この行為をBinge(度を越した)Watchingと呼んでいる。この言葉は2013年にはOxford辞書に追加され、2015年にはCollinsのその年の単語に選ばれている。
Binge Watchingを可能にしたのは、Netflixであり、Netflix視聴者を象徴して来た。しかし、Netflix視聴者は変化している。Civic Science社の2015年10月の調査では Netflix利用者の34%は18~24歳、27%が25~34歳であった。この時点では18~34歳がNetflix利用はの61%を占めていた訳である。しかし、2017年4月の調査では18~24歳が占める率は11%に落ち、もっと利用者が多いのは35~44歳(24%)になっている。2位は25~34歳と45歳~54歳(それぞれ22%)で、現在では25~54歳が68%を占めている。
Netflix利用者の平均年齢が上がった。これによりBinge Watchingは減っているのか? YouGovはテレビ番組を視聴する際にこれまでのテレビ放送のように週一回を好むか、あるいは全話をまとめた配信を好むかをアンケート調査した。18~34歳ではまとめての配信を好む人は68%で、週1回を好む17%より圧倒的に多かった。
しかし、Binge Watchingを可能にするまとめた配信を好むのは34歳以下だけではない。35~54歳では週1回の配信を好む人は32%に増えるが、半数以上の52%はまとめての配信を好んでいる。Netflixに加入する事で、35~54歳もBinge Watchingの魅力に取りつかれている様である。Netflix利用者としては構成率が21%と低い55歳以上の人達の間では44%は週1回の放送を好み、まとめての配信を好むのは27%でしか無い。
Binge Watchingは34歳以上に普及しているだけでなく、さらに過激化もしている。Netflixによるとまとめ見をするだけでなく、1シーズン分の全話(12、13エピソード)を24時間で見終わってしまうBinge Racerと呼ばれる人達が増えている。Netflixは彼らをBinge Racerと呼びその数は2013年では20万人であったのが、2017年9月では500万人に増えている。
しかし、すべてのNetflixの番組がBinge Raceされている訳ではない。Binge Racerが多かった番組はコメディーの「Gilmore Girls」と「Fuller House」が1位と2位で、3位はアクション物の「Marvel’s The Defenders」であった。24時間で1シーズンを見るのにはあまりヘビーな番組は適していないのであろう。では、Binge Racerはどの国に多いか? アメリカと思うだろうが、1位はカナダでアメリカは2位である。3位はデンマーク、4位はフィンランド、5位はノルウェーであった。やはり、寒い国に住むと家に閉じこもることが多く、Binge Racerが増えるのであろうか?
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