| OTTビデオとタブレット (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.159) |
2017年8月20日号
タブレット・コンピュータはコンシューマ市場ではコンピュター以上に重要になると予測されていたが、スマートフォンの大型化と高機能化で需要は鈍り、2015年にマイナス成長を始めた。調査会社のIDCによると世界のタブレット・コンピューターの出荷台数は第2四半期で3790万台で、前年同期から3.4%のマイナス成長であった。第1四半期はマイナス8.5%であった。
実際に利用されているタブレットの台数は2016年は6.1億台で、2015年の5.7億台より僅かに増えたが、2017年は成長は無く、6.1億台維持になるとForrester Research社は予測している。横這いのタブレットに対して、スマートフォンの成長は続いており、利用台数は2015年の27.8億台から2017年には37.2億台に増える。
モバイルデバイスでのビデオ視聴が増え、再生回数では全体の50%を超えているが、その主体もタブレットでは無くなっている。2013年ではタブレットでのOTTビデオ視聴の方がスマートフォンより多かった。しかし、モバイルデバイスでのOTTビデオ視聴におけるタブレットのシェアは2015年では25%に落ち、現在では15%程度まで下がっている(Ooyalaの統計)。
だが、OTTでのビデオ視聴に関してはこれらの統計だけでタブレットを無視する事は危険である。ReportLinker社の調査によると、15歳以下の子供がいる家庭には平均で7.3台のスクリーン付きデバイスがある。テレビが最もユニバーサルであり、93%の世帯にある。2番はスマートフォンで79%、3位はラップトップで78%である。タブレットは2位と3位から10ポイント落ち、68%で4位であった。しかし、統計対象世帯を10歳以下の子供のいる世帯にすると、テレビ、スマートフォン、ラップトップの率に大きな変化は無いが、タブレットは77%に増え、スマートフォン、ラップトップとほぼ同じ比率になる。
タブレットは10歳以下の子供がいる世帯に多く普及している訳である。10歳以下ではスマートフォン、あるいはラップトップの保有は低く、タブレットが代わりに使われている。15歳以下の子供が実際に使っている画面付きのデバイスとしてはやはりテレビが多い。しかし、その比率は62%であり、若い層はテレビ離れがこの統計でも明らかになっている。2番はタブレットで47%、3位はスマートフォンで39%、4位はゲーム機で38%である。
対象を10歳以下の子供にするとタブレット利用率は47%から58%に増える。10歳以下の子供に取り、タブレットはテレビに並ぶデバイスになり始めている。コンテンツ事業者、あるいは配信事業者として、10歳以下の子供が重要であれば、タブレットを無視する事は出来ない。例えば、Viacomは幼稚園児向けのSVODサービスのNogginを月額$6で提供している。NogginがサポートするデバイスはiOS、Androidベースのタブレット主体である。ストリーミング・プレーヤのサポートはRokuだけである。テレビ放送では、視聴デバイスを考える必要性は無かったが、OTTでは異なる。ターゲット層にマッチしたデバイス、さらにUIも考慮する事が必要になる。
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