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Appleの課題 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.153)
2017年2月20日号

 Appleの2017年Q1(2016年12月締め)の売上は$783.5億で、前年同期比で3%の成長をした。売上の69%を構成するiPhoneは前年同期比で5%増えた。最も成長している分野はデジタルコンテンツを含む、サービスで18%の成長をした。売上全体におけるサービスのシェアは9%になっている。ハードウェアとコンテンツの総合的なエコシステムを作る戦略は成功しているが、将来的に大きな課題もある。

 音楽配信ではiTunesのシェアは大きい。PayPalが行った調査では最も好むデジタル音楽配信のプラットフォームとして1位はiTunes で30%を得た。2位はPandora(23%)、3位はSpotify(13%)で、共にストリーミングサービスである。Appleのストリーミング音楽サービスのApple Musicは7%で6位であった。

 RIAA(Radio Industry Association of America)によると、サブスクリプション・ベースのストリーミング音楽サービス利用者は2015年前半期では910万人であったのが、2016年前半期では1930万人へと、倍増の成長をしている。ストリーミング音楽サービスの売上(サブスクリプションと広告)は前年同期から57%の成長をし、2016年前半期で$16億になり、iTunes等のダウンロード型のサービス$10億を追い抜いた。

 音楽配信は急速にダウンロード型のサービスからストリーミングに移行をしている。音楽ダウンロードの収入は2015年前半期から2016年前半期では17%の減少をした。Apple のiTunesでの音楽販売は減少をし始め、成長しているストリーミング音楽ではまだ僅かなシェアしかない。Apple Musicの加入者を大きくと増やす事が出来ないと、Appleのデジタル音楽ビジネスの収入は減っていく事になる。

 ビデオ配信ではさらに大きな課題がある。ビデオ配信でもストリーミングがデジタルでのレンタルと購入を追い抜いている。DEG(Digital Entertainment Group)によると、2012年ではデジタル媒体でのレンタルと購入は$28億で、有料ストリーミング(SVOD)は$24億でほぼ同じであったのが、2016年ではSVODが$62億、デジタル媒体でのレンタルと販売は$40億と、SVODが主体になっている。

 Digitalsmithsの調査ではデジタル媒体でビデオレンタル、あるいは購入している人は2016年Q3で36%で、その47%はAmazonを使い、Apple iTunesは22%でAmazonの半分以下である。SVOD利用者は62%と高く、その84%はNetflix、40%はAmazonを使っている。AppleにはSVODサービスが無い。ビデオ配信ではAppleはレンタル/購入ではAmazonに大きな差を付けられ、SVODにはまだ参入も出来ていない状態である。

 AppleはNetflix、Amazon等の様にオリジナルビデオ番組の制作を始めている。4月には2つのリアリティー番組をApple Musicで配信開始し、ドラマシリーズの制作も手を付けている。オリジナルビデオをApple Musicで配信する事で、Apple Musicの魅力を高めると同時に、SVODサービスの発射台にする考えであるが、市場は急速に動いており、時間的な余裕は無い。


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