| Netflixの10年 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.152) |
2017年1月24日号
10年前の2007年1月にNetflixのストリーミングサービスが始まった。Netflixのストリーミングはサブスクリプションベースの郵便DVDレンタルサービスの一部として始まった。ベーシックなサービスへの加入者は月に6時間のビデオを無料でストリーミングする事が出来た。最初の時点では視聴に使えたのはWindowsのIEだけであった。「Watch Now」と呼ばれていたが、再生開始までに早くても30秒はかかり、すぐに見始める事は出来なかった。視聴可能なタイトルも1,000本程度で、7万以上のDVDタイトルに比べると限られたものであった。
CEOのReed Hastingも最初はストリーミングを大きな話題にする事は避け、「DVDは長い間、重要な市場であり続ける」と語っていた。しかし、ストリーミング視聴は急速に成長する。2008年には月間視聴時間の制限を取り外し、見放題になる。2010年にはNetflixが夕方のインターネットのトラフィック量では1位となる。Netflixは2011年に郵便でのDVDレンタルとストリーミングを2つの独立したサービスとする。
2016年第4四半期でのNetflixのアメリカに於けるストリーミングサービスへの加入者数は4943万人となっている。1加入者を1世帯とすると40%の世帯普及率となる。ブロードバンド利用世帯だけであれば。Netflixの普及率は50%を超えている。Netflixは10年間でそのストリーミングサービスをゼロから全世帯の40%に普及させた事になる。
Netflixはテレビ放送業界にも膨大なインパクトを与えてきた。Hub Entertainment Research社が16~74歳の1,300人を対象に行なった調査によると16~24歳の人の72%は「テレビを見る」と聞いた時にNetflixと思い浮かべる。テレビ放送を思い浮かべると答えた45%を大きくと上回り、24歳以下ではすでにテレビとは放送では無く、Netflixを意味する物になっている。
ストリーミングサービスの大成功により、DVDはすでに重要な市場では無くなっている。Digital Entertainment Groupによると、DVDとBlu-rayのディスクの売上は2010年の$103.2億から2016年には$54.9億に減っている。Netflixのディスクレンタルの利用者もサービスが分離した2011年では2285万人いたのが、現在では410万人に減っている。次の10年がすぎる前にNetflixのディスクレンタルサービスだけで無く、ディスク市場自体が無くなっているかも知れない。
Netflixの海外向けストリーミングサービスはカナダで2010年9月に開始し、2016年末では4119万人になっている。2017年中には海外の加入者がアメリカ国内の加入者を追い抜くであろう。Netflixの海外ストリーミングサービスの10周年は、3年後の2020年になる。その時点での海外に於けるNetflixの普及率は何%になるだろうか。
|