| Disneyがライブ配信プラットフォームに$10億を投資 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.147) |
2016年8月20日号
DisneyはMajor League Baseball Advanced Media(MLBAM)のBAMTechに$10億の投資をし、その33%を得た。2000年に設立されたMLBAMはMLBのインタラクティブサービスのMLB.com等を運営し、YES Network(New York YankeesのTVチャンネル)のウェブサイトの管理等もしている。BAMTechはMLBAMとNational Hockey League(NHL)のJVで作られたストリーミング配信プラットフォームで、MLB、NHL、World Wrestling Entertainment(WWE)のストリーミング配信を行っているだけでなく、有料チャンネルのHBOのSVODサービスの配信等も行っている。
DisneyはBAMTechを使い、スポーツ専門のOTTサービスを開始する。Disneyはアメリカ最大のスポーツ専門のネットワーク、ESPNを持っている。ESPNはすでにTV Everywhere契約で、多チャネルサービスの加入者に対してはWatch ESPNと呼ばれるライブ配信を含むストリーミングサービスを提供している。Disneyは新しいOTTサービスはESPNのストリーミングではなく、ESPNで放送される番組の配信は含まれないと語っている。
NBCUniversalも最近、Playmaker Mediaと呼ばれるライブ配信に特化したストリーミングプラットフォームを設立した。NBCUniversalはロンドン・オリンピックの時からオリンピックの全試合をインターネットでライブ配信をしており、この分野では豊富な経験を持っている。Playmaker MediaはNBCUniversalのスポーツ専門チャンネルのNBC Sport 等のスポーツ番組のインターネットでの配信を行うだけでなく、International Olympic Committee(IOC)のストリーミング配信を行う契約をしている。Playmaker MediaはNBC Newsのライブ中継にも使われる。
Disney、NBCUniversalがライブ配信に投資をしている背景には多チャネルサービス加入者の減少がある。ライブで見る価値が高いスポーツ番組は多チャネルサービスに取り重要なコンテンツであったが、契約は高価であり、多チャネルサービスの値上げの大きな理由になっている。値上げにより、多チャネルサービスの解約、あるいはスポーツチャンネルを含まない安い基本パッケージへのダウングレードが増えている。スポーツチャンネル無しの基本パッケージの登場で、スポーツ専門チャンネル視聴者減少は多チャネルサービス全体を上回っている。
Disneyはその映画の独占再放送権は有料チャンネルのStarzからNetflixへ乗り換え、また、スーパーヒーローのMarvelシリーズの番組もテレビ放映ではなく、Netflixの独占番組にする等、多チャネルサービスからOTTへの移行を始めてきた。BAMTechへの投資で、DisneyはスポーツでもいよいよOTTへの移行に動き始めた。ドラマは多チャネルサービスに加入する事無く、OTTサービスのNetflix、Hulu等のSVODで見ることが可能になっているが、スポーツ視聴には多チャネルサービスが不可欠であった。ESPNを含めたスポーツのストリーミング化は放送からOTTへの移行を加速させる。
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