| NFLがTwitterで試合配信をする理由 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.144) |
2016年5月20日号
18歳から34歳(ミレニアム世代)におけるテレビ視聴は大きく減り、月間平均視聴時間は3年間で20時間以上減っている。親から独立している、独身ミレニアムでは放送離れは特に進んでおり、多チャネルサービスへの加入率は72%(全体平均は86%)、地上波でのテレビ視聴は12%(全体は11%)と低く、16%はブロードバンドでテレビを見ている(全体は3%)。
この若い世代の放送離れはスポーツリーグに取り大きな問題になっている。プロだけでなく、大学を含めてスポーツリーグはテレビ放送を使い新しいファン層を開拓してきた。地上波ネットワーク、それにESPN等のスポーツ専門チャンネルと契約するだけでなく、自らもテレビチャンネルを持ち、積極的に試合の中継をしている。しかし、ミレニアム世代がテレビ放送を見なくなっているのであれば、ファン開拓を放送に頼る事は出来なくなる。
その為、スポーツリーグはOTTでの中継に積極的になっている。Major League Baseball(MLB)は今シーズンはYahooと契約し、180試合を無料で配信している。National Football League(NFL)は前シーズンは1試合をインターネットで無料配信しただけであったが、今年は10試合を配信する。NFLは試合のOTT配信の為にTwitterと契約した。
TwitterはGoogle、Yahoo等と比べてOTTプラットフォームとしての地位は低いが、ソーシャルメディアとしては大きなインパクトを持つ。NFLはOTTで試合を無料配信するだけでなく、ソーシャルメディアの効果にも大きな期待をしている。
テレビ放送とソーシャルメディアには密接な関係がある。話題のテレビ番組はソーシャルメディアの活動を増やす。しかし、ソーシャルメディアで話題になる事で視聴が増える番組もあるが、影響が少ない番組もあり、逆の影響は明白ではない。ソーシャルメディアがもたらす効果はどの程度であろうか。
放送、あるいはOTTでライブ配信される番組を見ながら、その番組に関してソーシャルメディアを使う事が楽しければ、プラスの影響があるはずだ。しかし、RingDigital社の調査だと、いい効果は期待できない。同社はテレビ番組の放送中にその番組に関するソーシャルメディアの活動は多いを楽しんでいるかを聞く調査を行った。まったく楽しくないを1、非常に楽しいを7として、6あるいは7と回答した人は16.7%と少なかった。逆に、1、あるいは2と答えたのは34.1%となっている。
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