| スーパーボウル 50のインターネット配信 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.141) |
2016年2月20日号
シリコンバレー(サンタクララ市)で行われたスーパーボウル50の放送はCBSが行った。Fox、NBC、CBSの3社が合同で2013年から2022年までの放送権の契約を持っており、順番に放送をしている。NFLとの契約にはインターネットでの配信権も含まれている(モバイル通信での配信は別であり、Verizonが権利を持っている)。CBSのスーパーボウルのインターネットでの配信は、CBSSports.comのウェブサイトとそのアプリで行われた。
CBSはSVODで地上波放送をライブ視聴可能なCBS All Accessを提供しているが、スーパーボウルの中継はブラックアウトした。SVODでも配信する場合、NFLとの契約内容を変える必要がある。また、CBS All Accessでのライブ配信には合意していないローカル局もあり、さらにローカル広告主との調整もあり、今年の時点では現実的では無い。
放送での視聴者は1.119億人であった。アメリカ最大の視聴者数の記録を出した昨年のスーパーボウル(NBC)の1.144億人に達する事は出来ず、2013年のスーパーボウル(Fox)の1.122億人も追い抜くことが出来なかった。最大瞬間視聴者数は1.155億人で、ハーフタイムショーの時間帯であった。
放送視聴者の記録は樹立出来なかったが、インターネット配信でのユニーク視聴者数は396万人で、2015年の240万人、2014年の110万人を簡単に追い越した。1分あたりの平均視聴者数は140万人で、これも昨年の80万人を大きく上回った。
ストリーミングでの視聴者が大きく増えた大きな理由に視聴可能なプラットフォームの拡大がある。これまでインターネット配信の視聴プラットフォームはコンピュータ、あるいはモバイル端末であったが、Roku、Apple TV等のメディア・プレーヤ(コネクテッドTV)のサポートが増している。Adobe Digital Indexの調査によると、35歳以下の成人の35%はスポーツ中継をコネクテッドTVで見ている。CBS SportsはiOS、Androidに加え、Windows10のモバイル端末向、Roku、Apple TV、Fire TV、Chromecast、Android TV、それにXbox Oneをサポートした。
これまでのインターネット配信では広告は放送枠とは別に売られたので、放送とは広告が異なっていた。今年、CBSは放送の全国広告に対しては、ストリーミング枠も一緒に売った。ローカル局の広告枠には別の全国広告が挿入されたので、放送とストリーミングで完全に同じ広告が流れた訳ではないが、ストリーミング視聴でも話題となるスーパーボウルで初公開の広告を見る事が出来た。
しかし、すべてが良かった訳ではない。最大の問題は遅延である。CBSは20秒程度の遅延と言っていたが、私の環境では30~40秒の遅延があった。ソーシャルメディアを使っているとゴールで湧いた30秒後にやっとその場面を見る事になる。インターネット配信の視聴者が増える事でこれはより大きな問題になる。
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