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利用者が少ないスマートTV (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.140)
2016年1月25日号

 NPD Groupの調査によるとアメリカでのスマートTVのインターネットへの接続率は66%程度でしか無い。スマート機能が内蔵されたTVは売れているが、購入されたスマートTVの3分の1はOTTビデオの視聴には使われていない事になる。4Kテレビの様に機能はあるが、コンテンツが無いので利用する事が出来ないののとは違う。OTTビデオの利用者は増え続けており、テレビを使ったOTTの視聴も大きくと増えている。

 消費者はスマートTVを買っても、その機能は使わないで、Roku、Apple TV、Google Chromecast、Amazon Fire TV等のストリーミング・プレーヤを購入し、それでOTTビデオを見ている事になる。なぜ、スマートTVの「スマート」な機能は使われていないのか?

 その1つに、スマートTVはハードウェア会社が作っているという問題がある。ハードウェア会社のソフトウェアUIが扱いにくいことは以前からの問題で、スマートTVで始まった訳ではない。しかし、「スマート」と呼ぶからには、OTTビデオの視聴だけでなく、様々な機能を加える必要があり、利用価値の無いような機能も加えた事で、スマートTVの扱いにくさが増幅される。

 最初のUIが悪くてもそれを進化させていけば良いのだが、テレビは毎年モデルチェンジをする必要があり、スマート機能も毎年新しくなるので、進化は遅い。この毎年のモデルチェンジが2つ目の問題である。毎年、スマート機能を新しくする必要があり、多くの場合はOS、あるいはミドルウェアを変えているので、過去のソフトウェアをアップデートしている時間は無い。結果的にスマートTVのスマートな機能は1年で陳腐化する事になる。しかし、消費者は毎年の様にテレビを買い換える余裕は無く、最初の1年はスマートTVをOTTに使っても、2、3年目にはストリーミング・プレーヤに移行する必要がある。

 テレビメーカーに取っても毎年、新しいスマートTVを開発していく事は大変である。スマートフォンの様にサードパーティ開発のプラットフォームを使うオプションもある。Roku、それにGoogleのAndroid TVがテレビへコネクテッド機能をエンベットするライセンスを提供している。Rokuを内蔵したテレビはHaier、Hisense、Insignia、Sharp、TCLが発売しており、すでに100万台のRoku搭載TVが売れている。

 Roku等のストリーミング・プレーヤは家電メーカーのスマートTVの様に白物家電を管理する事は出来ない。しかし、OTTビデオを見る事が目的であれば、スマートTVより使い易さは上である。しかし、これらプラットフォームを内蔵したテレビにもディスプレイ本体とストリーミング・プレーヤの部分の寿命が違うと言うスマートTVと同じ問題がある。Rokuを内蔵したテレビを購入しても、数年後には新しいRoku、あるいは他のストリーミング・プレーヤを買う必要が出てくる。何十年も同じであったアナログチューナとは違い、変化が激しいOTTプレーヤの機能をテレビに内蔵するには無理がある。


「from USA」 のバックナンバーはこちらです。



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