| Amazon Primeが他社のSVODサービスを販売開始 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.139) |
2015年12月22日号
Amazonは様々なSVODサービスをPrime Instant Video内で提供するStreaming Partner Programを開始し、有料チャンネルのShowtime、Starz等の20以上のサービスが参加している。Streaming Partner ProgramはAmazonへのコンテンツ配信契約では無い。パートナーは自社ブランドでコンテンツをAmazon のプラットフォーム上で提供する事が出来る。
サービスは各自のブランドで提供されるが、すべてPrime Instant Videoのアプリから視聴可能であり、別途アプリを使う必要は無い。利用者はPrime Instant Videoのアプリでパートナーのコンテンツも検索し、視聴する事が出来る。課金はAmazonが行い、パートナー会社はコミッションが引かれた収入を得る。
Streaming Partner Programにはすでに多くの会社が参加している。多チャンネルネットワークとしては前記のShowtimeとStarzに加えLifetime、AMC、Smithsonian等が参加しており、その他イギリスのTV番組主体のAcorn TV、アジアドラマ主体のDramaFever、ボクシング専門のRing TV、コンサート専門のQello、子供向けのHooplakidz Plus等がある。料金は月$3から$10のレンジである。Showtimeの料金は月額$9で、Showtimeのウェブで加入する際の料金の$11より安くなっている。Showtimeは、Hulu上でも月額$9で提供されている。
2015年には数多くのSVODサービスが立ち上がり、複数のサービスを利用する人が増えている。Digitalsmiths社の調査によると2015年Q3におけるSVODへの加入率は56.3%であり、過半数の人がSVODに加入している。加入率が最も高いのはNetflixで49%が加入している。2位はAmazon Prime Instant Videoで19.9%の加入率がある。そして、SVOD利用者は平均で1.64個のサービスに加入をしている。
数多くのSVODサービスが誕生しているが、成功するには幾つかの問題がある。1つはコンテンツの発見である。数多くあるOTTサービスからいかにコンテンツを見つけてもらうかは大きな課題である。Apple TVではメタデータを提供すれば、Siriでの音声検索が使える。しかし、各OTTサービスにはそれぞれ個別のアプリが必要であり、多くのアプリをインストールする必要が出てくる。これに対して、AmazonのStreaming Partner ProgramはPrime Instant Videoのプラットフォームを使うので、1つのアプリ上で統合した検索をし、視聴をする事が出来る。
新しいSVODサービスのもう1つの課題はプロモーションである。新しいSVODサービスを知ってもらうことは容易では無い。また、全く知らないサービス事業者にクレジットカード番号を登録する不安もある。SVOD利用者は複数のサービスに加入する様になっており、既存の加入者に売り込むのが簡単な方法である。Amazonを使えばSVOD加入者の約35%にリーチでき、課金も代行してくれる。Streaming Partner Programになるには、Amazonの指定でコンテンツを配信する必要があるが、殆どのSVODサービスの配信にはAmazon Web Serviceが使われており、すべてはAmazonのクラウド内で行うことが出来る。
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