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      NSI Research社の デジタル放送とブロードバンドTVの情報サービス      
  年間情報サービス「The Compass」 と 「The Compass」年鑑レポート
 放送/メディア会社、通信事業者・機器ベンダを対象としています。


ブロードバンドでの多チャンネルサービス (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.138)
2015年11月20日号

 第3四半期の多チャンネルサービス加入者減少はLeichtman Research Group(LRG)社によると19万世帯で、昨年同期の14.9万世帯から28%増えた。しかし、多チャンネルサービスからの脱退はもっと多いとの意見もある。

 MoffettNathansonはQ3では35.7万世帯がコードカッティングをしたと分析している。LRGと19万とMoffettNathansonの37.5万世帯の違いは、Dish Networkの加入者数をいかに捉えるかにある。Dishは同社は2.3万世帯を失ったと報告している。この数字には同社の既存の衛星サービス(DISH)とOTTベースの多チャンネルサービスのSling TVが含まれている。もしも、Sling TVはOTTであり、多チャンネルサービスには含まれないとすると、Dish Networkの数字からSling TV分を引く必要がある。MoffettNathansonはQ3で15.5万世帯がSling TVに加入しており、衛星サービスのDISHへの加入者は17.8万世帯減ったと見ている。

 Q3に15.5万世帯がSling TVに加入したのであれば、Sling TVへの加入者は30万世帯を超えているはずであり、ブロードバンド上での多チャンネルサービスへの注目が増している。ブロードバンドネットワークを使った多チャンネルサービスとして、Dish NetworkのSling TV以外に、SonyのPlayStation Vueがある。どちらも自社では回線を提供していない、OTTサービスである。

 ブロードバンドを使った多チャンネルサービスとして、もう1つの種類が誕生している。それは、ケーブルTV(あるいはIPTV)事業者が自社のブロードバンド上で行う物で、すでにComcastがボストンとシカゴでStreamと呼ばれるサービスの提供を開始している。Streamは地上波とHBOを月額$30で提供している。Streamの利用はComcastのブロードバンド以外では出来なく、OTTサービスとは違う。

 Charter、それにCharterが買収予定のTime Warner Cable(TWC)も同様なサービスを始めている。ComcastのStreamの視聴はiOSとAndroidのモバイル端末で、テレビでの視聴は出来ないが、CharterとTWCのサービスは共にRokuを採用し、テレビで見る事が出来る。Charter、TWCのサービスでは地上波再送信、HBOに加え、他の多チャンネルネットワークも含まれ、多チャンネルサービスにより近いサービスになっている。電話事業者としては3位で、IPTVサービスを提供しているCenturyLinkも自社にブロードバンドを使った多チャンネルサービスを予定していると発表している。

 OTTでのサービスとは違い、ケーブルTV事業者のブロードバンドTVサービスでは、地上波再送信の為の契約が不要である。ケーブルTVの事業者はそのサービス地域ですでに地上波の再送信権を得ているので、新たな契約は不要である。OTTで提供する場合、個々の局との契約が必要になる。Sling TVのサービスには地上波再送信は含まれていない。SonyのPlayStation Vueは地上波再送信がある。その為、Sonyはサービスを提供する地域の地上波局と契約をして行く必要がある。Sling TVは全米で利用可能であるが、PlayStation Vueのサービス地域はまだ、ニューヨーク、ボストンの7都市でしかない。

 ケーブルTV事業者の参入でブロードバンドTVの市場も本格的になり、既存の媒体(ケーブルTV、衛星、IPTV)を使った多チャンネルサービスへの加入者はさらに減っていくであろう。


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